3.そ「」ざいいぎ

 なんとか自分の安否を伝えたい。しかし、送信できる文字は1文字だけ。そんな時、いつも選ばれるのは、「あ」だった。


 ひらがな界の王様ともいえる「あ」。

「あ」とひとたび叫べば、それを発するだけで、注目を集めると同時に、白けた空気をつくることだって可能だ。


 「あ」は強い。


 それに比べて、俺は……。ひらがな界の賞レースではいつも最下位。しりとりでは、みんな俺を毛嫌いする。


 俺は、なんで生まれてきたんだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る