第8話 空白に

改行して空白(スペース)に次の文字を打ち込む

たったそれだけの事を数十行している


空白(スペース)に私の全てを込めたような

そんなものが書けると信じていたあの頃は

確定(エンター)する迷いがなかった


今や迷子も迷子で毎日空白に怯えてる


未来の空白とか伸び代のない空白とか


いくら改行したって次に出てくる言葉がないんじゃ しょうもない


打ち終えて見返すと繰り返した跡と滲む梅雨の匂い・花火の終わりと雪道の影、夏は入道雲に白線を越えたマーガレット、春よもう一度


くだらなくも美しい思い出になった君

額縁の外には出られない仕掛け

空白に全て打ち込む


誰にも わかりゃしないだろ って

君にしかわからない言葉を使って


空白(スペース)、空白(スペース)、

確定(エンター)。








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