月に触れる

文筆は月に触れるがごとく

無常の日々を贄として

溜まる澱をさらうもの

されど淀みは尽きもせず

干潟の上に曝け出す

淀みの中に浮いては沈む

絣模様の銀細工

これが己の感傷と

坩堝に放り熔かすのみ


文筆は月に触れるがごとく

触らぬうちに止むべきと

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