第34話 強力な味方!!

私はサルバドールを連れ、ひとまず、部屋を出て元いた監獄へ戻った。


真夜中でシーンとした館をドタドタと音を立てて階段を降りる。私が檻の中から抜け出して来た人じゃなくても捕まえられそうだが、廊下に人はおらずあっさりと戻ってこれた。


「ア、アノンさん。どう言うことなんですか!?」


監獄に着くや否やサルバドールが必死に聞いてくる。


「まず、一から説明します」


私は昨日の朝から今まで起きたことを全て話した。


マックさんは実は、偽物で、この館の主人の息子であるミミックが、変装していたと言うこと。


そしてミミックに一緒に住もうと迫られたこと。


私がサルバドールと脱出したいというとミミックがサルバドールの意識をなくさせた状態で連れて来たこと。


解放するためにマリアの部屋からマルクの写真を持ってこいと言われ、取りに行くとその部屋の電話が鳴り、かけた相手がマルクだったこと。


そして、マリアとマルクが結婚するということ。


などなど全てを話した。


短時間にいろいろ起きすぎていたが、どれも衝撃なことで、言葉は自然と出て来た。


「それで、アノンさんは結婚式に乗り込みたいと...?」


様子を伺いながらサルバドールが聞いてくる。


「そうなんです。それで、サルバドールさんも一緒に来て欲しいんです!」


深々と頭を下げる。相手の返事待つまで私は下を向いていた。


「分かった。そこまで頼むのなら私もついていきますけど...。結婚式の場所っていうのはどこなんですか?」


「おそらくですけど、マルクのお城でするんだと思います。私も何回かあのお城の結婚式に呼ばれたことがあるので」


「なるほど、この館からマルク様のお城までは少々時間がかかりますね...」


その言葉を聞き、私は今更ながら、サルバドールがこの館の場所を知っているという事実を知り、安堵した。


「今からだと間に合いますか...?」


「そうですね、いつ開かれるのかは分かりませんが、夜までには間に合うと思います」


「なるほど...。あの、今って何時ぐらいなんですか?」


私はなぜか恐る恐る聞いた。


「今は、午前1時ですね」


サルバドールは自分の腕時計を見て確認する。その姿はスマートでカッコ良かった。


「よし、じゃあサルバドールさん。今から行きましょう!マルクのお城へ!」


私は意気揚々に宣言し、勢いよく立ち上がる。


「え、今からですか?でも、どうやってここから出るんですか?」


そう聞かれても私は怯むことなく続ける。


「さっきチラッと確認したら全く警備員がいなかったんですよ。おそらくマリアの結婚式会場に家族や位の上の人たちが向かったんで、警備が緩くなってるんだと思います」


私は早口で捲し立て、サルバドールをその気にさせる。


「わかりました。アノンさん、あなたについて行きます」


そう言い、サルバドールも立ち上がり、2人でこの監獄から出た。

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