5. 何か頼もうかな

5. 何か頼もうかな



 時間は19時を回ったところだ。そろそろ夕飯の時間だな。こいつも帰るだろ……。


「ねぇ先輩。お腹空きませんか?お夕飯にピザ頼みましょうよ!」


「お前は自分の部屋に帰れよ、何で毎日毎日オレの部屋にくるんだ?」


「だって付き合ってるから」


「付き合ってねぇって言ってんだろ!」


「もう照れちゃってー!先輩ったら可愛いなぁ!」


「……はぁ、もういいや。とりあえず何か頼んでくれ」


 くそっ。こいつの思考はどうなってんだよ。この前もいきなり抱きついてきやがって…… まあそれは別に嫌じゃなかったんだけどさ。


 ただ、こんな風に毎日押しかけてこられると困るというか…… いやまて、冷静になれ。そもそもオレたちは付き合っているわけじゃないだろ。


 こいつはただ単にスキンシップをしているだけだ。オレの方は断じてそんな気持ちなどない。変に意識するのはおかしいじゃないか。


 それに……


「えぇっ!?」


「おい!急に大きな声出すなよ!」


「ごめんなさい……。でもびっくりしたんですよ。ほらこれ見てください!2枚頼むと1枚半額ですよ!私たちみたいな学生には助かりますね?ピザって高いじゃないですか。」


「ならピザなんか頼むなよ……」


「え?でも先輩が何か頼めって……」


「お前がピザ食べたいって言ったんだろ!」


「あれぇ?そうでしたっけ?でも彼女の頼みを聞くなんてさすがですね先輩!私、愛されてますね!」


 本当になんなんだよこいつは。こうしてまたいつものようなやり取りをする。そしてその後届いたピザは美味しかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る