第32話

相変わらず教室は暑かった。セミが鳴いているので扉を閉める。そうすると風も入らず、さらに暑くなるのであった。


「先生クーラー入れていただけませんか」


生徒の1人が先生に直談判すると


「今は無理だ。耐えろ」


と一蹴された。そういう先生も汗だくだった。


まだ夏休みまでは遠い。早く夏休みに入ればパラオに行けるのに。



そんな事を思ってると、頭に小粒のようなものが当たった。


なんだろう。どうやら斜め前にいるアン子が投げつけたらしい。


チョコなのだが、暑さのせいでドロドロになっている。


わざとなのか天然なのかは分からない。なんとか透明な袋を開けて


口に頬張る。


甘さで頭が少し冴えてきた。


そんな訳で、やっと4時限目が終わった。

俺は例によって2人分のお弁当を食べながら呟いた。


「あー早く夏休みにならないかなぁ」


屋上は風が吹くと気持ちいいのだが、風が無いと太陽にさらさせている。


「早くパラオ行きたいのん!」

アン子も楽しみにしているようだった。


「夏休みはまだ先よ。それよりアン子はバイトしてるんだって?」


すみれがアン子に訊ねた。


「ネカフェでバイトしてるのん!」


「へぇ…キョースケもバイトするの?」


「ああ、その予定だ」


「どこでやるの?」


「考え中なんだが、ガソリンスタンドか、コンビ二か、ブザーバックスか…」


「ブザーバックス、いいじゃない!制服がいいわよね」


「じゃあブザーバックスから面接行ってくるわ」


俺は初バイトなので正直緊張してるのだが、表にはださずにいた。


「あーブザーバックスで抹茶フラぺチーノ飲みたいわぁ」


すみれは扇子センスを使って仰いでいる。


アン子は汗1つかいていない。平気なのだろうか。


2つ食べ終わった俺は、


「よーしバイト頑張るぞ!」


今から燃えて来たが暑さには負けるようにフラフラとドアに向かっていった。


食べ終わった残りの2人も、着いていくようにドアへ向かった。

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