第3話

昼。相変わらず俺は学校の屋上で、弁当2つをがっついていた。


朝食と夕食を抜いてきたので、凄く美味かった。ペロリといけた。


すみれの弁当のクオリティーが高いのは確かに認めざるをえなかった。


しかし長年アン子の弁当に舌が慣れているのも事実。


甲乙つけがたいな…


そう思いながら空の弁当箱を眺めてると、隣のすみれが


「ねぇ響介クン、『らぁいん』教えてよ!」


「はぁ?夜中寝てる時にメッセージ送ってくるんじゃないだろうな?」


「大丈夫だからv早く交換しよ!ね?」


アン子が胸元をみせながら近づいてくる。アン子は自分の弁当をモグモグしながら


「らぁいんって何なん?」


「えー!こいつスマホもってるくせに、らぁいん入れてないわけ~?」


俺がフォローする。


「アン子、スマホ持ってないんだ」


「『らぁめん』と違うん?」


「ちげーよ‼‼‼」


すみれは思わず立ち上がった。


「あーもうホントイラつくわーこの座敷童」


そう言いながらも、らぁいんの交換をすませると


「ふふ大収穫vまたねー」


上機嫌で屋上のドアへと消えていった。


「アン子、らぁいんはメッセージを交換したり無料通話したりもできるスマホアプリなんだ」


「そうなん⁉うちも使いたいん!」


「そうだなぁ、じゃあ1万8千円くらいのスマホ買って、低速SIM付けてアン子にあげよう」


「本当なん?最高なん‼」


珍しくクネクネ踊り出す、そんなアン子の家は貧しく父が消えて母と一緒に過ごしていた。だが家賃が無い事だけは救いだ。


俺は踊りをみながらつい笑ってしまう。


そんなアン子に、やはり安息感を感じてしまうのだった。

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