第09話 危機

「まずいぞ、アレックス!数が多すぎる!」


「くそっ、ウィル!撤退だ!イザベラとエリーを守ってやれ!こっちはいい、あいつらが魔法を組み立てる時間を稼ぐんだ!」


「アレックス、お前も早く来い!」


「俺はあのデカブツを足止めする!ゴブリンどもの包囲を破って先に行け!なぁに、すぐに追いつく」


「馬鹿野郎が……絶対追いつけよ」


「雑魚たちは任せたぜ。指揮個体に深手を負わせれば、この辺の巣まで追い返せるかもしれん」


「相変わらず無茶を言いやがる。イザベラ、エリー、話は聞いたな!アレックスのアホが帰れるように、道を作るぞ!」


「わかった!」


「わかりまし、あぐっ!?」


「イザベラっ、大丈夫か!」


「大丈夫……ウィル、矢を射られた!ゴブリンの中に弓使いがいる!」


「エリー、イザベラを治療してやってくれ!くそっ、面倒な敵がいやがるな、動きづらい!」


「イザベラさん、少し痛いですが我慢してください……!」


「ウィル、まだか!」


「まだだ!もう少しだけ待ってくれ!!」


「コイツ、ゴブリンジェネラルだ!長くはもたん!」


「くそっ、なんでこんな所にそんな野郎がいやがるんだ!」


「ウィルさん、弓で狙われてます!危ない!!」


「ぐっ!!くそ、足をやられた!!」


「エリー、私はもういい!先にウィルを!」


「ウィルさん、いま治します!」


「俺の治療より先にあいつらへ攻撃魔法をお見舞いしてやってくれ!」


「ぐっ!」


「イザベラ!ムチャするな!」


「ウィル、また弓だ!!」


「くそっ、二度もやられるかよ!」


くそ……アレックスも無理してる、いつまで持つか分からない、俺もイザベラも手負いになっちまった。エリーはまだ攻撃するには時間がかかる。魔法使いを守らなきゃいけないから深くまで切り込めない!遠距離攻撃をしてくる敵が邪魔すぎる。畜生、ゴブリンどもの分際で!先手を取られたのが痛すぎる。こっちが先に気付いていりゃあ、こうはならずに済んだのに!まずい、まずい!この状況を何とかしないと、全滅だぞ!このままじゃジリ貧だ。そんな時、見知らぬ少女が現れて尋ねてきた。


「あのー、これ手助けしても大丈夫なやつっすか?」

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