関西人のラブローマンス

 あー、学校ももう放課後やん!

「こんなとこでうちに恋の告白ってホンマ? 言っとくけど、ブランド物チャラチャラのカオだけ男って嫌いやねん。サブイボ出るねん」

 まったくいつもの美人のガールフレンド達と遊んどればええやないか。

 こんなとこに二人きりやなんて。

「あんた、つくづく見ためだけのオトコやで。これだからトーキョーもんは……」

 ……何か言い返せるん?


『人は見ためで判断しろ!』


 しょっぱなからソレか。メガネ割れるで?

 ええカオとブランドに騙されろと言っとるんか? うちをからかっとるん?

「……見ためで判断するなやろ、フツー。そんな事言っとると詐欺師のええカモやで」

 言うてやった! 言うてやった!

「見ため優先ならばこそ、うちはまっさきにあんたを恋愛対象の範囲外にしてるんや」

 まあ、確かに世の中、見ため優先なんは多いけどな。

 転校してきた初日から、学校最下位のブッサイクの天下獲ったって自覚はあるんやで。

 おかげで友達ゼッロ~♪

 あかん。ちょっと哀しくなってきたわ。


『見ためだけに騙されるのは、見抜く力のない奴だ!』


 あきれた……自己擁護にもキリがあるで、ホンマに。

 あんたがうちに嫌われるとるんは、うちに人を見抜く力がないからか。

 チャラチャラしてるあんたにも見ためだけやない深みがある。そこを見抜け、そー言うんか。ほーか、ほーか……。

 …………。

「いちびっとるんやないで! あんたは骨董品か何かか!? なんでも鑑定団か!?」

 言うてやった!

 ……まあ、あっさりフッてやるには勿体ないところがある……それだけは認めてやるけどな……!


『俺は見抜く力があるから、お前を好きになった!』


 なんやコレ!? ハートにズギューン!と来た!?

 今までのはセリフはうちへのアピールだったって言うんか……?

 えげつな……。

 うちにどんな答を期待してるってゆうんや……。

 こうなったら言わせてもらうで。言う時はバーン!と行くで。

「……好きとか……嫌いとか……。……き、今日はここまでにしといたるわ!」

 何やねん! 心臓バックバクやないか! こう返すのが精いっぱいや!

 えーい! 去り行くうちを寂しそうに見るんやない!

 もう今日からあんたを見る眼が違ってくるやないか!

 言っとくけど、うちのセンスはごっつ凄いで。ごっつう嫉妬深いで。

 チャラチャラとぶら下げたガールフレンド達とうちを同じ扱いが出来ると思うなよ。

 次会った時こそが勝負やからな!

 …………。

 ……あかん。……もう勝負負けとる気ぃしかせん。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る