第7話 深夜迷惑

 深夜二時、アパートの壁から男の霊が現れた。


 霊は手刀を切る仕草をしながら反対側の壁へと向かう。


「ちょっと待て」


 俺は呼び止めた。


「こっちの部屋の女性と交際していたのは知っている。化けて出るのも自由だ。だが人の迷惑を考えずに最短距離で行こうとする無精さが、彼女にフラれた原因だと思うぞ」

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