転生先は俺の中二世界

日常

第1話 2人の魔剣士と妹

「刀身に漆黒なる炎を宿し、我の道を妨げる者をその激熱(げきねつ)をもって地獄の豪火へと還せ。」


【ヘル・フレイル・ブレイド】


刀身より放たれた漆黒の炎が魔物の軍勢をなぎ払い、轟炎が全てを飲み込んでいく。


「俺の魔法剣に切れぬ物など無い…炎の中でその罪を悔い改めるがよい。」


100体は居たであろう魔物の群れは焼き尽くされ光となり天に昇っていく。


今日もこの町を救えた。

この町が好きだ、生まれ育った町。

かけがえのない家族がいるこの町が。

(アテン様のご加護を)

そう思い空を見つめていると気配を感じる。


「相変わらず素晴らしい力だな…」


この声は間違いない…やつだ。


振り返りながら声の主へ聖剣エクスアンシャルを向ける。


「お前こそ気配を消すのが相変わらずうまいな。」


俺に気配を感じさせずに近づくなどあいつにしかできない

そう元相棒にして最大の好敵手『コクヤ』だ。



黒田大和 くろだ やまと

通称コクヤ 物心がつくの頃からの幼なじみ




元は互いに【光の神】アテンを仰ぐ聖騎士

互いに切磋琢磨し最強の魔剣士を目指していた。


しかし2人で闇の力を研究してる際にコクヤは【闇の神】アンラアペップの力に魅せられてしまった。


「シロトよ聖騎士ながら闇の魔法をここまで操るとはまた腕を上げたな。しかしその程度の闇魔法では我は倒せんぞ!」


コクヤが魔剣フィフスヘルフラグラナスを抜きこちらに向け言い放つ。


コクヤは闇に落ちてから更に強くなった。

全力で戦わなければこちらがやられる。


「ハクト…貴様を駆逐し我が新たな神になる」


魔剣が鈍く光る


「コクヤ…俺の剣で正しい世界に導いてやる」


聖剣を握る手に力が入る。


「光の神よ俺に力を貸したまえ」

「闇の神よ我に力を貸したまえ」


同時に最大詠唱に入る


「世界の人々の祈りを我が刀身に宿し、聖なる光で邪悪なる闇を打ち消し世界に光を示せ」

【アテン・ユーピテル・ブレイド】


「世界の人々の憤怒を我が刀身に宿し、漆黒なる闇で全てを飲み込み世界に永遠の暗黒を」

【アンラ・タルタロス・ブレイド】


互いに踏み出し全身全霊で剣を振り下ろす


「コクヤァァァァ!!!」

「ハクトォォォォ!!!」


剣が交わり合う


交わった剣を中心に激しい衝撃波が走る


光と闇の力が極まるその時だった




「とうまにぃ!やまとさん!ごはんですよー!」




(この声は…くっ…なぜこんな時に妹が…)


思わず声をあらげる


「ゆま!下がれ!今は危険だ!」




「いいから止めなさい!」



公園に癒真の声が響き渡る



「「ご…ごめんなさい」」



妹の前では神の力も霞んでしまうな




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