第6話 秘密の女子会 その1

週末、吉田は沙優に電話をかけた。


「吉田さん!嬉しい!どうしたの?」

沙優は嬉しそうに電話に出た。


「突然…すまない。来週末に…東京に来てくれるんだっけ?」

「うん。吉田さんに会いに行くよ♪」


「実は…後藤さん、神田先輩、三島が…沙優に会いたいと言ってるんだけど…」


「え?そうなの?会いたい会いたい。

 特に後藤さんとユズハさんにはお世話になったし。

 神田さんは初めてだけど…吉田さんが初めて付き合った女性…なんでしょ?

 会ってみたい」


「わかった。時間や場所はこちらで設定しておく」


「吉田さん、お休みの時はちゃんと料理してる?」

「ははっ、今週はしてないな」

「もう~、コンビニ弁当だけじゃ体に良くないよ?

 じゃあ…週末行った時に作り置きのおかずいっぱい作ろうかな♪」


「お前の料理は美味しいからな、手間にならない程度ならば…嬉しいよ」

「うん♪じゃあ頑張っちゃうね♪

 なんかこーいうのも良いな~、遠距離恋愛みたいだね♪

 あ、でもまだ吉田さんから返事貰えてないから…ちょっと違うか…」


「いや…その…なんていうか…

 この一週間…沙優を強く意識し始めているというか…」

「え?…ほ、本当?…ぐすん…」

電話の向こうでどうやら沙優は泣いているらしい。


「明日にでも会いに行きたい…な…」

「…かなり前向きになっているのは確かなんだけど…もう少し…整理させてくれ」

「…うん。分かった。」


「あのね、あのね…」

とりとめのない話を2時間近くした。

長電話は基本嫌いなんだけど…

沙優との電話は苦に感じるどころか寧ろ心地よくて…

俺…やっぱり沙優に惚れているのかも…

沙優のお兄さんの言葉…本当だったのかもな…

その日は沙優の音を感じて眠りについた。


・・・週末・・・

そわそわして吉田は朝から部屋の掃除して

その後沙優から頼まれていたおかずのための買い物をしていた。

お昼近く。ピンポーン。ドアを開けると

「吉田さ~ん♪会いたかった~♪」

いきなり沙優が抱き着いた。


吉田は顔を真っ赤にして・・・沙優の頭を撫でた。

「元気にしてたか?」

「うん。…う~ん…吉田さんの匂い~落ち着く~♪」

沙優はずっと抱き着いて甘えている。


「吉田さん♪そろそろ…ムラムラしちゃった?」

沙優はいたずらっぽく笑った。


「う、嬉しいだけだよ。そ、そこまでムラムラは…」

「したの?」

「す、少しは。」


沙優はにへら~として

「吉田さんのエッチ~♡」

「お、お前そーいうところは本当にガキのままだな!」


沙優はにっこり笑って

「ごめん。ごめん。久しぶりで嬉しくてはしゃぎすぎちゃった♪

 じゃあ早速お昼とおかずの作り置き作っちゃうかな?」


トントントントン「ふ~ん、ふ~ん、ふ~ん♪」

手際よく沙優は料理を作り始めた。

「お昼できたよ~、ちょっとおかずを優先して作りたいから簡単にパスタね♪」

「頂きます!」

「旨い!やっぱり…沙優のパスタの方が…旨い!」

「ありがとう。嬉しい♪でも何と比較してたの?」


「いや…この間三島と食事に行ったんだ。

 その時にレストランでパスタ食べたんだけど…

 沙優の方が旨いだろうなと思っていて、

 実際今食べたけど沙優のパスタの方が旨いよ。」


「ふ~ん…三島さんと食事行ったんだ…」

ちょっと沙優の頬が膨れた感じがした。


「あ、その…実は…後藤さんとも神田先輩とも三島とも食事に行ったんだ…

 理由は…沙優の話で…で~…その…沙優が良いって…言ってきたんだ…」


沙優は顔を真っ赤にして

「そ、そうなんだ…あ、ありがとう…」

「あれ?それなのに今日私に会いたいって言ってきたの?」

「何か直接…沙優にも言いたい事があるみたいで…」


沙優はキリっとした顔で

「うん。そっか。教えてくれてありがとう。

(今日は決戦なんだ…気合いれよう)」

「あ、18時にシティホテルで待ち合わせになっている。

 一緒にホテルまで行くよ。」

「うん。ありがとう。」

そして二人でホテルに向かった。

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