-Winter 前編- 彼氏、告白、心の膿-2

 -今日は連絡をくれた彼と会う日


 わざわざ車で迎えに来てくれて、外も寒いのに、車から降りて俺が到着するのを待っていてくれたんだ。


 会った瞬間、初めてでも彼だってすぐ分かった…だって、俺が176センチで彼は160センチ。


 今まで出会った男性の中で、1番背が低いのに顔立ちは、かなり整っていて髪の毛もしっかりとセットされている。


(…背低いけど…カッコイイなぁ…)

 これが俺の第一印象だったんだ。


 彼の車に乗りこみ、その日はドライブをしながら、お互いの自己紹介をするだけだった。


 彼は、俺の3つ年上で愛煙家。

 美容師として働いていて、世界進出を目指しているらしい…通りで髪の毛のセットが綺麗なわけだよなぁ…そして夢がでけぇなぁ…これぞ正しく、ビッグドリームってやつ??


 その後、彼に会う度に俺は、この人の隣にいたい…この人を好きになって愛せたら…そうだ、これできっと大きな傷にはならない…愛する人がいれば…きっと大丈夫…


 出会ってから1ヶ月しないうちに、俺たちは付き合いを始めることになった。


 付き合い始めてからは、ご飯も食べに行ったし、クリスマスも一緒に過ごした。

 もちろん恋人同士だから、セックスだって嗜んだし、彼を受け入れようともした。


 でも、俺からは何も求めることもなく…どこかで…が俺の気持ちから消えない…なんで…寧ろどんどん大きくなり始めてる…??


 そんな自分に嫌気すら、覚えるようになってきたんだ…


 ◇ ◇


 -年明け後

 彼と付き合っても、俺らのjubeatへの熱は、真冬であっても下がることを知らず、その日は愛と翼さんと3人で、いつもと違う拠点にいた。


 なにせ、秋頃にjubeatの新作が出たばかりで、どんどんアップグレードされていくjubeatに俺らは、心踊らされているようだったから…


 いつも通りの愛に

 いつも通りの翼さん


 翼さんには、俺がと伝えられていないから、愛は俺の前では彼のことをと言いながら、話を持ちかけてくれていて…いつも気ばかり遣わせてしまっていた。


 愛には「そろそろ翼さんにもちゃんと伝えたら?」そう言われていたけれど…やっぱり、言えない弱虫な自分がいて…


 彼氏がいるくせに…軽蔑とか偏見を持たれたとして、俺ので無くなってしまうことが怖い…


 あれ…?でも、待てよ…?


 よく考えてみたら、俺の大切な人たちは、俺がである事を知っているのに、憧れで大切な翼さんが、知らないというのもどんなものなのだろうかと…


 本当は、伝えた方がいいことなんて…分かっているのに…翼さん、どんな風に思うのかな…


 色んな気持ちが織り交じって、またグチャグチャになり出した俺…


 そんな思いは、この数十分後に解消されるなんて、この時は考えてもいなかったから…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る