第55話:ドッグ族救援
王歴327年6月18日:南大魔境・ドッグ族村・クリスティアン視点
俺がドッグ族100人を率いて、ドッグ族で1番大きな村にたどり着いた時、もう村は城壁を破壊されてゴブリンの侵入を許す寸前だった。
「村を、ドッグ族を護れ、突撃!」
「「「「「ウォオオオオ」」」」」
俺の命令を受けて、100人のドッグ族がゴブリン族の背後を襲う。
1万以上のゴブリンが村を包囲しているのに、背後をとったとはいえ奇襲をしかけてのはたった100人だ。
俺が手助けしなければ全く勝ち目がない。
「スライムなってゴブリン族を皆殺しにして喰らい尽くす。
死んでいるドッグ族は情け容赦なく喰らう。
その代わり、ケガをしているドッグ族は全員治癒魔術で治す。
ゴブリン族を皆殺しにしてキャット族の村に戻るまでは、安全のために絶対にホモサピエンスには戻らない。
アッシドバレット、ポイズンバレット」
★★★★★★
王歴327年6月18日:南大魔境・キャット族新村・クリスティアン視点
頭が痛いが、今までで1番痛いわけではない。
最近は短時間の狩りや地下道を堀るための変化だったので、頭が痛くなる事は全くなかったのだが、今回のは久しぶりにかなり痛い。
「これくらい痛いと言う事は、結構激しく戦ったようだな」
「当たり前でございます、クリスティアン殿。
ドッグ族を襲っていたロードゴブリンと1万のゴブリンを、たったお独りで皆殺しにさっれたのです」
スライムからホモサピエンスに戻った俺を看病してくれていたラウラが、内心の安堵を照れ隠しの怒りの表情で隠しながら文句を言う。
こういう所が俺の男心をくすぐってくれる。
「そうか、俺はどれくらい気を失っていたのだ?」
「8時間ほどですが、今回は無理に起こしませんでしたので、普通の睡眠なのか気を失っておられたのかは分かりません」
ラウラは未だにクリスティアン殿と呼ぶが、それ以外の話し方は敬語になっているのがまたかわいい。
思わず抱きしめたくなるが、妊娠が確定しているラウラを抱くのは禁止されていて、ラウラの4つ子の妹パオラを抱かないといけない。
「それで、俺の戦いぶりは誰が伝えてくれたのだ。
まさかとは思うが、俺の命令を破って、キャット族が俺の後をつけるようなマネはしていないな?」
「クリスティアン殿の命令を無視して怒りを買うようなバカは、キャット族には誰独りおりませんからご安心ください。
クリスティアン殿を追いかけるようにドッグ族が来て報告していきました」
「俺に忠誠を誓ったドッグ族か?」
「さあ、ドッグ族の事などぞんじあげません。
どのドッグ族がクリスティアン殿に忠誠を誓おうと、キャット族には全く関係がない事です」
元々同じキャット族でも協力する事がほとんどなかったのだ。
何度も同盟を断ってきたドッグ族の事など滅んでもいいと考えているのだろう。
「そうか、キャット族がドッグ族を嫌っているのなら、無理に仲良くする事はない。
ただ、保護を約束したドッグ族の女子供にちゃんと食糧や生活必需品を渡して、いじめないようにしてくれればいい。
くれぐれも俺の名誉に傷をつけないように」
「心得ております、クリスティアン殿。
クリスティアン殿の名誉に傷をつける者は、同じリンクス族でも許しません」
ラウラはかわいい事を言ってくれる。
グレタ副村長や部族長達との約束を守っているのだから、それ以上の愛を交わすのは俺の自由だよな。
ラウラとの子供が4人から6人や8人に増えても文句は言わせない!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます