2023/12/01

 親戚が戦死した。


 その知らせが来たのは先週の木曜日だった。知らされたときはどこか現実感がなく、私はぽかんとしていた。

 だが、次の日、授業中であったのに突然涙が止まらなくなった。どうやらこれは戦争というものに長くさらされていた私の精神を粉々に壊してしまったらしい。


 自慢ではないが、私の精神は強いほうだ。だからこんなことになってしまったのは初めてだった。亡くなった親戚に、私は会ったことがない。それよりも私の従妹は彼と関わりがけっこうあったから、向こうのほうが辛いに決まっているのだ。

 私は彼の話をたまに、従妹から聞いていた。


 彼には妻とまだ小学校低学年の息子がいた。夫婦仲はあまりよくなかったらしい。ある日、彼は妻と喧嘩してしまい、そのまま志願兵として戦場へ行ってしまった。そして、二度と戻ってこれなくなってしまった。


 彼は死に際になにを思ったのだろうか。妻と息子は彼の死の知らせを聞いたとき、なにを感じたのだろうか。


 その痛みは誰にもわからない。


 少なくとも上の連中は理解しようとはしないだろう。

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