第17話



 17話



 俺はいつも通り部活が終わり家へ帰ろうとしていた時のことだ。いつもダンスをしているからか、ダンス部で練習をしてもまだ元気なほど体力が有り余っていたのだ。


 まだダンスの練習が出来るのにこのまま帰るのはもったいないと考えて居まい、どうしようか考えているのだ。


 学校のスタジオはもうしまっていて入れないのでダンスの練習をするのであれば、外で。部活が休みの時に三月さんと練習をするみたいに、ビルの横とか、公園とかに行くしかない。


 ・・・行くか。


 まだ練習をしたいし。それにいつも練習をしてる場所はそこまで遠くない。


 俺はダンスをするために、行くことにした。



 ☆


 そこはまだ少し明るく太陽が沈んでいない、だけれど電灯はついている公園の中。人はそれなりに多く、だけれど公園が大きいからか人にはそこまで合わない。


 そんな公園に来たのは、ピクニックや遊ぶためではない。・・・この有り余る体力を経験に変換すべくダンスの練習に来たのであった。


 だが、俺はいつもの様に練習をする事は敵わないとこの公園に着た瞬間悟ってしまった。なぜなのか?それは目の前のダンサーの集団である。その人たちはそれなりの大人数で集まっており、いつも練習している場所にいるのだ。


 だが、しょうがない。ここは俺の持ち物と言う訳では無く早い者勝ちである。


 残念ではあるがこの場所を離れて別の場所で練習をする事になってしまった。


 あそこは、電灯の下で人通りも少なく、練習するのには最適だったため少し不満はあるが、その快適さは俺一人であれば我慢できる物である。


 もし三月さんがいたとしたら、別の・・ビルの側面などに移動をしていたかもしれないが。


「体は冷めちゃったしアイソレから始めよう。」


 ここに来るまでに、あったまっていた体は戻ってしまい今急に動かすと腱を痛めてしまいそうなので、準備運動としてアイソレをやろう。・・・アイソレやっていたら分かるのだが、結構ちゃんと温まるのだ。


「・・・上手くなったよな。」


 俺がダンスを始めて約2週間。初めのころはアイスとレーションの事なんて良く分からなくて何となくやっていたが今ではどの様な動きをすればいいか分かってくている。


 それに、部活の先輩である未夜さん。

 元々バレエをやっていた先輩なのだが、俺がアイソレに苦戦している時アドバイスをくれたのだが、そのアドバイスが結構役に立っているのだ。


 なんでも、ダンスは体のスポーツ。筋肉や骨をカッコよく動かすスポーツなのだとか。

 再祖これを聞いたとき何を言っているのか分からなかったが、今は何となく分かっていると思う。


 それが分かった要因はアイソレなのだが、アイソレをやっていると今まで使ったことが無い筋肉を使う。つまり、ダンスは今まで日常生活で使ってこなかった体の機能を拡張している、それを使う事でカッコいいだとかを作るのだと。


 それで、未夜先輩に言われた続きなのだが、体の機能を一つ一つ意識してみな。といわれた。


 例えばアイソレをやる時、ただ胸だけを動かすだとか。首が動かないようにだとか思いながらやるより、どの様な動かし方をしたをしたら首の筋肉が動かないのだろう?


 だとか、どの様な伸ばし方をすればもっと伸びるのか?とかを人体の部分から見て行った方がいいのだと。


 これは最近だとダンスだけでなく他のスポーツでもよく見る、運動科学?だとかそう言う部分の事だ。


 ・・・・まあ、俺は論文とかを見たりはしていないんだけど。だけど、それでも自分の体の事だ。アイソレをしていて、どこが伸びているのか、変な力が入っていないかとかは自分でも分かる。それを一つ一つ潰していくと論文を見なくてもそれっぽい感じになる。


 後は、伸ばして柔らかくしていかなければいけないんだけどな。それが意外と大変なんだよ。



 ふぅ・・・よし。アイソレは十分できたと思うからロックの練習に入ろうなか。


 そんな時であった。俺はアイソレーションの練習を終わらせてロックの練習に入ろうとした時、後ろから足音が聞こえてきた。・・・足音が聞こえるのは普通だ。ここは公園で人は普通にいる。それにまだ太陽が沈んでいないので絶好の散歩日和だ。


 なら、何が起きたのか。

 俺がアイソレをしているのを見ていたのか。もしくは終わるのを待っていたのか、後ろから・・・さっき見つけたダンサー達が話かけてきたのだ。


「ねえ、君ダンスの練習してるの?」

「え、」


 俺をかけられるとは思っておらず。・・・そもそも、近づいてきた事すら気が付いておらず、「え、」の一文字で返事を返してしまった。


 もちろん、失礼な事は分かっているが出てしまったのだ。


 ・・・どうしよう。

 そんな気持ちになってしまったのは相手が親切に話をかけてきたからであろう。


「あれ?1人で練習していたい感じだった?・・・それじゃあ、なんかあったら声をかけてよ。」

「・・・ありがとうございます。」


「無理だってさ~!」


 急に話しかけられてひよってしまったのか、俺は真面な言葉が出ないで会話が終わってしまった。本当ならもう少し喋る事が出来るのだが、集中していたからか、もしくは俺一人で練習をしていたから、声を出そうとしていなかったからか。


 声が出なかった。


 でも、あの集団に入りたいわけではなかったし・・・それに雰囲気がニガテと言うか。まあ、だから別にいいかな。


 今はダンスの練習に集中しなければ行けないからね。


 ☆


 ふう。一旦休憩しよ。

 流石に部活が終わった後に1時間ぶっ通しでのダンス練習はキツイ。まだ慣れていないからか、変な力も入っていてそれも疲れに直結している。


 のどか湧いた水をくれ・・・無いんだけど。


 俺は鞄の中を漁るがそこには俺が想定していた水は無かった。・・・部活で飲み切ってしまっていたのだ。最近は体の使い方が分かってきたから、その分汗も出て喉が渇く速度が尋常じゃないのだ。


 ・・・完全に想定外。・・・近くに自販機あったっけ?


 周りを見渡すが、コンビニはおろか自動販売機も見付からない。都会の真ん中にある公園だと言うのに、自動販売機が見付からないのだ。


 歩いて探すか。。。。


 俺はその重くなった足を使って自動販売機を探す旅に出ようと、荷物を全て持ち移動しようとした。その時、まだ居たダンサーの皆さんが俺の方を向いて声をかけてきた。


「あれ?帰るの?」


 なんだと思ったら、俺の帰宅に関して出会った。


「いえ、水が無くなってしまったので・・買いに行こうかと。」


 俺はまだ練習がし足りないのでここにいる予定だ。


 すると、俺の声に反応してダンサーの中の1人、さっき俺に「一緒にダンスしない?」と声をかけてきた人が水をこっちに投げてきた。


「その水上げるよ。」


 俺は何とかその未開封のミネラルウォータをキャッチした。なんで水をくれるのか分からないがありがたかった。

 今自動販売機を探しに行くと体が冷えてしまいそうなのでまだ練習をしたい俺にとってはオアシス同然であった。


「なんで渡すんだよ。お前それ以外に水持ってきてないだろ?」

「練習している人を見ると応援したくなっちゃうんだよね。」


 なんで渡したのか分からなかったが単純な善意であったみたいだ。


「その割には練習してぇねよな。」

「それとこれとは別だよ。」


 仲が良いのか、ダンス仲間同士でじゃれ合っているみたいだ。俺は貰った水をありがたくいただいて、一口飲みその集団に近づいて行く。


「俺も一緒にやっていいですか?」


 ただ、何となくであった。水をくれた恩返しとかそう言う事ではない。・・・なんとなくその人たちのダンスを見てみたいなと、そう思ったのだ。


 もしかしたら、凄い上手いかもしれない。もしかしたら、凄い下手なのかもしれない。でも、これだけ楽しんでダンスをしていて・・・そんなダンスを見てみたいと思った。


「いいよ!ダンスは大勢でやった方が面白いもんね!」

「良いぜ!こいこい。」


 そのダンサー達も歓迎してくれて、俺はそこでダンスをすることとなった。


「それなら、サイファー作ろうぜ!」

「お!いいね。」


 するとダンサーの中の1人がサイファーと言う物を提案してきた。


「サイファーって何ですか?」

「ん~、、、円になってその中で踊る事?かな。まあ、やれば分かるよ。」


 突然質問をしてしまって無礼かと思ったが、親切に答えてくれた。だけど、その答えは結構曖昧な物でどうとでも取れそうな物である。


 やれば分かると言われたが、、、大丈夫だろうか。






 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ご覧にいただきありがとうございました。


 面白かったらぜひ感想や評価をお願いします!!!モチベに繋がります!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る