第10話



 10話


 はぁ、結局教えてくれなかったな。


 俺は昨日おじさんに撮ってもらった動画を見ながら、なんで自分のダンスはのっぺりとした・・違和感のある踊りになってしまうのか考えていた。


 きのう貰った動画を見ているがやっぱり違和感はぬぐい切れない。動画の中のダンス始めたばかりのステップにしては上出来ではある。おじさんと比べることが出来ているのだから。それなのに、比べて貰から無い違和感とは何なのだろうか。


「・・・学校行くか。」


 ダンスの事も考えて居たいが今日は部活がある日だ。数日休んでいたので、今日こそは行かないと部長にどやされる。


 ・・・ちなみに俺がやっている部活は世にも珍しい、、、、というか俺は知らなかった「手芸部」だ。


 なんでそんな部活に入ったかと言う・・・そもそも俺は部活には入るつもりなんて無かったんだ。だけど、学校入学したときにたまたま出会った人が「部員が足りないから」と泣きついてきて、しょうがないから入った。


 でも、それなりに楽しかったので別に入っても良かったなと思っていたりする。


 そんなこんなで電車で学校に到着して、真っ先に部室に行くとなぜか人気が無いように静かであった。


「まだ、早かったかな?」


 そんなはずはない。俺は11時と少し遅くに着ているが、部長や他の部員はもっと早く来て作業に励んでいるはずだ。・・・なのに、部屋の明かり一つついていない様子から見ると、誰も来ていないようだ。


 部室の鍵も開いていないのでしょうがなく職員室に行ってきいてみることにした。・・・もしかしたら部長は今日は休んでいるだけなのかもしれない。部員もそもそも少なかったから俺みたいにサボりの可能性もあるし。


 部室に行き顧問を呼んで聞いてみる事にした。


「どうした春樹?」

「部室の鍵を貰いに来ました。・・・そう言えば部長たちが居ないんですが、何か知っていますか?」

「小島たちか?昨日一斉に退部届を出しに来たぞ。今の手芸部は私と春樹だけだ。」


 ・・・なんてこった。

 俺が知らない間に、手芸部が崩壊寸前になっていたなんて。・・・俺も退部しようかな。今はダンスをやりたいし、手芸は・・・面白いけど今はやりたくないし。


「俺も退部します。」

「分かった。それならここに名前を書いてくれ。」


 俺はその日部活をやめる事となった。


 ☆



「はあ、どうしよう」


 勢いのまま部活をやめてしまった。いや、俺一人の部活なんて面白くないし、1人での部活は部活としてやる意味が分から無いからやめて正解だとは思うが・・・はぁ。


 部活に入った理由は部長の誘いであったが、部活自体は楽しかったから結構な喪失感がある。もう、あの部活は無いのだと思うと・・。


「ダンスか~。」


 だからと言うか、たまたまと言うか、偶然にもダンスをやrう条件が合ってしまった。もし、このまま手芸が楽しくて続ける選択肢があったのであれば、ダンスは趣味として終わらせる選択肢があったが・・・手芸は活動場所である部室が無くなったので終わってしまった。


 それなら、部室以外の場所で手芸をやればいいんじゃないの?と思うかも知れないが・・部室以外で手芸をやるのであれば、ダンスをやりたい。


 まあ、そんな感じだから・・・ダンスをやるかな~


 そう思いながら、部室前においてきた荷物を取りに戻っていると何処からか音楽が聞こえてきた。・・・吹奏楽部の演奏ではない、同時に足音が聞こえるから、誰かが踊っているのだろうか。


 そう言えば、今日はダンス部の練習日だっけな。

 もうすぐ大きな大会があるからとグループラインで告知されていたから、それの練習なんだろう。


 ・・・荷物を取ったら少し見に行ってみるか。


 ダンスを始めた俺にとって、ダンスと言う対象は全て気になってしまう。それが身近なほど。


 俺はその暑苦しい廊下を通って行って、この棟の一番奥にある部屋。手芸部の部室(元)に着いた。


「貰ったこれを自慢したかったのにな。」


 もってきた荷物は授業がないのにもかかわらず、重量がある。その中に入っているのは昨日おじさんから貰ったシューズであった。・・・凄い人に会ったんだと、自慢したかったのだけれど、もう使わない部室を見るとなぜか寂しくなってくる。


 息よりも重くなったその荷物を持って、来た道を戻ろうとするとなぜか今から見に行こうとしていたダンス部の部員がそこで歩いていた。


 なんでこんな所に居るんだろうと思いながらも、ダンス部だと判別できたその特徴的な服に目が行ってしまう。練習用だろうけど、その服には品があると言うか・・・俺が来てもあのようにはならないだろうなとおもう。


「あ、その靴。」


 たまたまと言うか、部室の前で出したはいいがリュックの空き容量の構造と、靴が合わなくなってしまったので、しょうがなく袋に入ったまま手荷物としてそのまま持って帰ろうとしていた。


 だから、手に靴が入った袋を持っているのだが。・・・いや、中に入っている靴を当てる事は容易いと思う。だって、この靴と袋はセットで入っていて、どちらにも同じような模様と、名前が書いてあるからだ。


「ビルダーのスイッチだよね?」


 だけど、その靴を見て反応するのはダンサー以外居ないのではないかと思う。・・・昨日貰った服や靴はけっこうのブランド物で、そのブランドはダンス系のブランドみたいなのだ。


 そう言いながらたぶんダンス部であろう人は近づいてきた。


「えっと、そうですよ?」


 急に話しかけられたことから、驚きで言葉が出なく、その言葉の返答だけになってしまった。


「お!やっぱり。・・・君の事をダンス部では見た事無いんだけど、、ダンスやっているの?」

「ちょっと前から・・・教えてくれる人に出会って。。。」

「へ~。・・そうだ!ダンスをやっているならさ、ダンス部の練習を見に来ない?いい経験になると思うよ。」

「良ければ・・」

「じゃ、レッツゴーだね。」


 同じ学年で見た事は無いからたぶん先輩なんだろうけど・・・結構テンションが高いのか、ガンガン来る。でも、先輩から招待されるのであれば・・・急にと言う事は変わらないが、知らない男子が1人で見に来ると言う状況からは逃れられた。


 ・・ダンス部って女子が多いから俺一人だと行きづらかったんだよな。男子の先輩に招待されるのであれば堂々と行ける。


 そう言いながら歩いて行くと連れてこられたのは、俺が行こうと思っていた体育館ではなく、別の・・ダンス部の部室に連れてこられた。

 てっきり、今練習をしているのは体育館だからそこに連れて行ってくれるのかと思っていたけど・・・


「ここがダンス部の部室兼練習場のスタジオだよ。」

「あれ?さっき体育館でダンス部が練習時ているのが聞こえたんですけど・・分かれているんですか?」

「それはね、あっちは夏の大会に出るから別で練習しているんだ。・・・ここにいる人たちは大会に出ない事を選んだ人たち。」


 へ~、ダンス部全員が大会に出るわけじゃないんだ。

 てっきり全員でダンスをするのかと思っていた。・・学生のダンス大会でよく見るのは大勢が一緒に踊る奴だから。


「なんで出なかったんですか?」


 でも、ダンス部なのだから一緒にダンスをやるのは部員として、、、強制だと思っていた。ダンスも体を動かす、、スポーツだからそう言う熱血系の所があるのかと。


「ほら、ダンス部って最近できたのもあるし、部員の殆どが女子だから、みんなで頑張るぞ!っていう雰囲気が苦手な人が居るんだよね・・・別に差別ではないんだけど、、、サッカーとかの暑苦しい感じにしたくないんだと思うよ。」

「それじゃあ、先輩は?」


 その暑苦しい感じが苦手だとかと言う事だったが、先輩はどうなのだろうか?・・・いや、大会の練習に出ていないから、皆でがんばろうっていう雰囲気が苦手なのかな?


「・・・僕は揃えて踊るって言うのが苦手でね。今回は辞退させてもらったんだ。・・・まあ、そんな事はどうでもいいんだよ。折角ダンス部に見学しに来たんだし、練習を見てよ。」


 そうだった。俺がここに来たのはダンス部に来たのは見学するためだった。・・・いつもよりも少人数での練習になると思うけど、そんな感じで練習をするんだろう?


「お願いします。」

「は~い、皆注目!今から見学してくれる人が来てくれたから、いつも以上にがんばろうね!集まって。」


 先輩が大きな声でそのスタジオ(部室)にいる全員に声をかけると、ゾロsゾロⓉおこっちに見てきた。するとどうだろうか。


 何処からか人が集まるのかと思っていたが・・・


「今はこの数人しかいないんだよね。」


 そこには5人と言う超少人数しかいないみたいだ。一応昨日うちの高校のダンス部を検索してみたのだが、その時出たのは、ダンス部が有名だとか大会を入賞下だとか、書いていたので・・・いや、大会で勝つ為にいま体育館で練習をしているわけだから、この人たちは、、、それをほっぽっていると言う訳だ。



 そんなダンス部に入ったと言うのに、、なんで練習をしていないんだよ?


「・・・そうだ、少し自己紹介をしようか。このままだと、集団行動が出来ない社会不適合者だと思われそうだし。

 まずは僕だよね 今宵 剣 って言うんだ。ダンス歴は中学から始めていて、5年間やっているよ。大会にはそんなに出てないけど、去年はソロのダンス大会で2位になれた。・・・それくらいかな?

 何かほかに聞きたい事はある?」

「・・・」


 何を聞けばいいんだろう?いや、ダンス大会で2位になれたのは凄いけど・・それでも聞くことは、、


「あ、どんなダンスを踊るんですか?」


 そう言えばと言う感じだが・・・おじさんはロックを踊っていたし、あの少女達はダブルで・・・・たぶんポッピン系のダンスを踊っていた。

 だから、この人がどんなダンスを踊るのか気になる。


「ん~・・・じゃあ、それは全員の自己紹介が終わったら皆で踊ろっか。実際に見せた方がいいしね。それに、ジャンルで分けてもその人個人で癖があるしね。

 それじゃ、次は佐々木君で。時計回りでね。」

「あ、それじゃあいいですか。俺は佐々木と言います。学年は3年でダンス歴はこの中では短い方ですが2年間やっています。大会には、、去年剣さんと一緒に出て俺は予選落ちしてしまいました。」


 その人は強面で・・・酷いかもしれないが、ヤンキー的な事をやっていたような顔をしている。ただ、礼儀は正しく腰が低いのでちゃんとしている人そう。


「よろしくお願いします。」

「次は私!私は2年生の未夜、みっちゃんって呼んでね。ダンス経験はまだ2年だから佐々木さんと同じだよ!大会はまだ1回しか出ていなくて、それはケっちゃんとかと一緒に出たやつで、本選の1回戦で負けちゃったな~。

 よろしくね。」

「よろしくお願いします。」


 この人は、ポニーテールをしている髪が長い人みたいだ。・・・ケっちゃんって、剣さんの事を言っているのかな?


「え、っと、私は三月と言います。今は1年生でダンスは4年間やっています。大会にはちょこちょこ出ています。・・・よろしくお願いします。」

「よろしくお願いします。」


 美月さんは・・・俺と同じ学年なのか。まだ学校が始まって3ヶ月くらいだから分からなかった。学年全員の顔を覚えている訳では無いからな。


 ちなみに、俺よりも身長は小さいです。


「最後だな?俺は2年の勝木だ。ダンス歴は2年でダンス部に入った時から始めているぞ!大会はさっき剣さんが言っていた大会に出ている。ちなみに予選敗退だ。

 よろしく頼むぞ!」

「よろしくお願いします。」


 熱量があると言うか、癖が強い人だな。

 ・・・これで全員かな?





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