No.24 魔王様達と使い魔さんのスゴイ活躍!私やってやります!


深淵の破壊者との戦闘を繰り広げる魔王達。


「どうやら兵士達は城の外に出れたみたいだ!」

「ああ!あの醜い奴の魔力が急激に高まったが、幹部たちは手遅れだったようだな!」


相手の足による攻撃を対処しながら話すテネバイサスとグレイシモンド。


「よっと、こいつちまちま回復してうぜぇな」

フラマーラとブラッディピークが降りてくる。


「ああ、それにアギーが今イビルハンガーの元にいる、すぐに行かないと」

テネバイサスがそういうとフラマーラが笑う。


「心配し過ぎだって。今のアイツはやる気MAX状態なんだ。ワタシ達が横槍入れないで置いた方が今は良い。それよりもこっちだ」


「まあ、向こうはなんとかなるかもしれんが。どっちにせよコイツを片付けねばな」

「城の人たちが外に出たみたいだし。私達もそろそろ本腰入れましょうか~」


魔王達は散開する。


「では動きを止めよう零度の磔刑グラシェス・シャティモッ!!

破壊者の足を瞬間凍結させる息吹を吐くフローズンブルーム。


「ああ、偽の刃フェルム・ヴェリタティス!」

シャドウダイバーと共に影に潜るテネバイサスは影から無数の刃を生み出して破壊者を切り刻む。


「みんな良い感じねぇ~エターナルレイちゃん行くわよー!一筋の閃光ミカレ・ピストーラ!」

巨大な光の柱を発生させるエターナルレイ、柱に触れた破壊者の肉体は消失し、全身にいくつもの大きな縦穴が作り出される。


「KYOOOOO!!」


「良い声で鳴きやがるぜ!行くぞブラッディピーク!!」

その上空で構えていたフラマーラがそう言うと、彼女のブラッディピークは翼から噴射される焔の量を最大限に引き上げた。


「焼き尽くしてやる!!煉獄の鉄槌プルガトリウム・コロンピオ


そのまま業火を巻き上げながら相手に突撃。


爆炎と共に地面が激しく揺れる。

周囲にあった城までも半壊する程の破壊力だ。



「KYO……KYOOOO」

破壊者はうめき声のようなものを上げる、だがまだ完全に倒せている訳ではない。


「なんだよ。本当にタフだなーコイツ」

地上に降りたフラマーラが回復していく相手をみてそう言う。


「あ!ダーリンあれ!」

その隣に降りて来たアウレンデントが相手を指さしながらテネバイサスに話しかける。


「あ、あれは!」

二人の視線の先、そこには剣と盾のようなものが。


それは酷く損傷した破壊者の体内から露出していた。


「なるほど、操る仕組みが分かった。グレイシモンド、フラマーラ、もう一度アイツに傷を負わせられるか、出来るだけ深くだ」


「誰にものを言っている当然だ」

「楽しょーだっつーの」


そう答える二人。


「分かった、アウレンデントはあの元へ行くのを手伝ってくれ」

「りょーかいダーリン♥任せてー!」


アウレンデントとテネバイサスは距離を取る。


「それじゃ行くか。私に合わせろ」

「ふん、良いだろう。上の者は低レベル相手に合せる、嘆かわしい同調圧力だ」


鼻で笑うグレイシモンド。


「ハァッ!?私よりも下のお前が、最高なレベルの私に追いつこうと研鑽するんだよッ!」

「何ぃッ!?程度の低い奴は優しくすればすぐにつけ上がりおって!」


フラマーラとグレイシモンドは頭突きの勢いで互いの額をぶつけて睨み合う。

その後ろでは二人の使い魔が困った様子でいる。


「なにやってんだ」

「平常運転ねー」


「GYOOOOO!!!」

ケンカしてる二人に破壊者が襲いかかる。


「「あ"あ"?」」

二人は焔と氷で相手の攻撃をはね返した。


無慈悲な渦イミーティス・ボーテクスッ!!」

フローズンブルームが破壊者の周りを高速で回り氷の竜巻を生み出す。

全ての生命が瞬時に凍りつく、そんな極寒の世界をその内側に作り出した。


フラマーラがブラッディピークに魔力を込める。

するとブラッディピークが纏う焔は青色へと変色し、巨大な焔の矢となった。それを背負った弓につがえるフラマーラ。


破天糾ブレクスル・コンディネシオンッ」


それに合わせてグレイシモンドも手に持ったレイピアに魔力を込める。


砕氷コントゥンディート


突きの動作と同時に一瞬で相手の背後に回るグレイシモンド。

相手の体の至る所に凍りの花が咲き乱れる。


「GYOOOOO!!!」

苦痛の悲鳴かジタバタしながら声を上げる破壊者。


そこにフラマーラが放ったブラッディピークが焔の矢となり飛来。


超低温の空気が超高温にあてられ一気に膨張し、大規模な水蒸気爆発を引き起こす。魔王達でなければ耐えられないであろう衝撃が広範囲を吹き飛した。


その爆発を見ながら二人は地上に降り立つ。

「ふぃー派手に散ったな」

「加減を考えろ馬鹿者がこの衝撃でテネバイサスのお目当てが消し飛んだらどうする」


笑うフラマーラ。

「どうもしねぇよ」


彼女が見上げた上空にはアウレンデントとテネバイサスが使い魔たちが。


「派手にやったわねーフラちゃんとグレイシー。半分以上吹き飛んでるわ!それじゃ、良いのねダーリン」

「ああ、構わない、片付けてしまおう」


アウレンデントがテネバイサスの手を握る。

二人は雷となり、一瞬で破壊者の場所に飛ぶ。


その先にあったあるものをテネバイサスが掴む。


「これで終わりだッ!!」


掴んだものを一思いに引き抜くテネバイサス。


「おー、あれが」

「ほう、中々良い、美しいデザインではないか」


フラマーラとグレイシモンドが見上げ、彼が手に取ったものに注目する。


彼が破壊者から抜き取ったのは剣と盾だった。



少しばかり時間はさかのぼり、アギ―のいる城前の広場。


「俺を【ぶっ飛ばします】だぁ?」


アギ―を睨みつけるイビルハンガー。


「生意気な口聞いてくれるじゃねぇか!」


イビルハンガーが体の一部を変形させ、手をを伸ばす。

彼女を喰おうとする。


「死ねッ!!」


アギ―を彼の手が包み捕食しようとする。


しかしそれが出来ない。


「あれ、どうなってんだ?」

自身の手に目を向けるイビルハンガー。


「な、なんだこれはあああッ!?」

アギ―に触れている箇所から自身の腕がどんどん植物へと変貌している。


「う、うわあああッ!!」

急いで自分の手を切り落とすイビルハンガー。


切り落とした腕はあっという間に残すところなく植物へと変わってしまう。


「なんなんだその力!!クソッ!!これならどうだ!」


イビルハンガーは喉を膨らませ、口から大量を泥を吐き出した。


「ぶははは!折角食ったものを吐き出すのはもったいねぇが、行け!俺に食われた兵達よ!」


泥の中から極めて歪な形をした兵士が現れる。それはかろうじて人型を保てているだけでそれ以外は生物と呼ぶにはあまりにもな存在だった。


「……」

アギ―は自身に迫って来るその存在に優しく触れる。

すると歪な兵士たちはたちどころに優しい緑の光に包まれ、樹木へと変わっていく。


「何でもかんでも小賢しい雑草に変えやがって!それなら!」

イビルハンガーは指を変形させ、兵士たちを狙う。


(しまった!あいつ兵士たちに魔力を注入して操る気だッ!)

蛇の獣人は彼の狙いに気づき仲間の方へ走り出す、しかし相手の方が速い。


「みんなそれから離れろ!!」


兵士にたちにその指が伸びきる瞬間、指は切り落とされた。

地面に落ちた指は小さな種となり、芽を出し、花を咲かせる。


アギ―が樹木で出来た斧で切ったのだ。


「いつの間に!?」


「本当に、あなたはどうしてそう私が嫌な事をするのでしょうか……」

イビルハンガーに近づくアギ―。


「近寄るんじゃねぇッ!!」

イビルハンガーが抵抗しようと攻撃を仕掛ける。


(攻撃、この時みなさんなら……)

アギ―は踏み込み、相手の懐に入り込む。


「なにッ!!?」

下に構えた斧を振り上げ、イビルハンガーの身体を切りつけた。

イビルハンガーの身体が植物へと変わって行く。


「ぢ、ぢぐしょおおおお!!」

彼は自身の身体が植物になる前に切られた部分を抉って行く。


「クソックソッ!もっとだ!もっと捨てねぇと!」

必死で体をかきむしる。


するとその下から光る何かが顔をのぞかせた。

それを見たアギ―は即座にツルを生み出し、その物に絡ませる。


「あッ!!て、テメェッ!!」

イビルハンガーが気付き声を上げるがもう遅い。


アギ―は思いっきりそのツルを引っ張る、するとその先には絡めとられたコアが。


「よくやった!アギ―ッ!!!」


そう言って現れたのはテネバイサスとシャドウダイバー。

加えてもう一つ見逃すわけがないものが彼らの後について来た。

イビルハンガーは口を開けて啞然とする。


「KUOOOOッ!!!」


深淵の破壊者だ。


「な、なんだとおおぉッ!?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る