思弁進化

 SFには空想の生物を楽しむ遊びがあります。一般的なSF書籍でなくともゲロルフ・シュタイナーが書いた架空の生き物「鼻行類」といった本がこうした分野では有名です。思弁進化と呼ばれる一領域で、思弁生物学と呼ばれることもあるそうです。ほかにも最近ですと高木刑「西中之島の昆虫たち」が架空の昆虫を取り扱ったSFです。ウィキペディアによると現代の思弁進化の活動はドゥーガル・ディクソン「アフターマン」から始まるという一般同意があるそうです。人類滅亡後の地球を支配する生物ですね。それだけ架空の生き物を考えても深い世界が広がっています。

 その面白さを生物学的な切り口や、食物としてはどうか? あるいは文化的な視点で見てはどうか? など多様な視線で見つめる本作は短いながらもSFの面白さが詰まっている好例です。