一人きり

まさか二十歳の青年が

別れて三十余年まで

一人の娘を想うとは


然るに娘を数奇に想う


彼には男女を問わずして

全ての影に君を見る

君の一部を有した誰か


去らば満つるは娘一人よ


きっと彼女は一人きり

数多の人らの一人きり


その運命数奇に想えば

残った僕も一人きりだよ

きっと誰かの一人きりだよ


2022.3.6(日)

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