第21話 高級マンション

 ◇◇◇◇◇


「みなさん、着きましたよ!」


「ここは、川崎営業所?」


「併設のマンションですよ。こっちです。」


「あ!これですか?誰が住んでるのかと思ってましたけど。」


「このマンションは、探索者協会が運営しているマンションです。

 川崎支部にはA級探索者はいないため、A級探索者専用の空きがあったんで、押さえました。

 今日からここに住んでください。

 国営施設ですから、ここも無料ですよ。」


「うわー、これってタワーマンションってやつですよね?」


「タワーマンションってやつです。それじゃ、キーの登録しますね。この5人でいいですか?」


「は、はい、家族以外でもいいんですか?」


「いいですよ。広いですから。ついでに私も登録していいですか?それの方が、何かと便利なので。」


「あ、はい、お願いします。」


「じゃあ、登録していくので、順番に右手をここに置いてくださいね!」


 。。。。。



「はい、全員登録できました。では、行きましょう!」


 。。。。。



「え?最上階ですか?」


「はい、最上階ペントハウスで〜す。」


「お兄ちゃん!すごいよ!」

「ちょっと、信じられないね。」

「素敵すぎ〜!」

「私もいいのかな……。」


「ここからなら、学校も今まで通りに通えると思いますよ。もうすぐ卒業だし、今から転校は嫌ですもんね。」


「はい、ありがとうございます!」


「橘さん、どうですか?バッチリですよね?

 私、仕事ぶり、素晴らしくないですか?

 私もたまにここに泊まりにきますからね!」


「はい、バッチリです!

 仕事ぶり、素晴らしいです!

 ありがとうございます!」


「明日、向こうから荷物を運びますので、妹さんは立ち会ってもらえますか?橘さんは、あまり行かないほうがいいので。」


「あ、はい。」


「アパートの解約手続きもしておきますね。」


「あ!早見さん、アパートはそのまま残しておいてください。家賃は払いますので。」


「了解です。大丈夫ですよ。」


「桜!明日、大家さんによろしく伝えてくれ。」


「うん、わかったよ。」


「それじゃ、私は、今日は帰りますねぇ。」


「はい、ありがとうございました。」



 ◇◇◇◇◇



 次の日、楽々パックで荷物の搬入も無事終わり、5人でくつろいでいる。


 なぜか、静と朱美も荷物を運び込んでいた。


 昨夜、説得されて、2人もここに住むことに。

 代わりに、静の空いた部屋に桜が卒業までの間、住まわしていただくことになった。


 なので、急遽、このマンションには、俺と静と朱美の3人暮らしという、はちゃめちゃな組み合わせになってしまった。


「それじゃ、私も若葉んちに行くね。

 また、土日に遊びに来るから。」


「おう!若葉、桜をよろしくね。」


「うん。大丈夫。」



 ◇◇◇◇◇



 なんか、3人だと緊張するなぁ。


「なんか、3人になったね。」

「あのさ。颯くんの部屋のベッドって、めっちゃ大きいじゃん。3人で寝てもいいよね〜。」

「うん、そうだね。3人しかいないしね。」

「でしょ!大きいベッドは有効に使わないとね〜。」


「でしょ!じゃなくて。

 自分の部屋にもベッドあるからね。」


「もういいんじゃない?そろそろ、一歩踏み出す勇気を持つんだよ〜!」


「私たちは付き合ってるんだから、一緒のベッドでもいいよね?」


 ん?誰と誰?静と朱美か。付き合ってたんだね。流行りの百合っぽいやつか。


「まあ、それは自由だな。」


「じゃあ、お風呂も3人で入っちゃう〜?」


「入らん!!なぜそうなる?」


「だって、もう颯は私たちのすっぽんぽんを見てる訳だし、いまさら、大丈夫でしょ?」


「う、それは。。。」


「見るのはOKで、見られるのはNGっておかしくない〜?」


「う、それは……。」


 。。。。。



 前略。


 なぜ?Why?

 結局、3人でお風呂に入ってる。

 女子!少しは、隠してください!

 逆に俺が隠してるのが、恥ずかしい。

 お風呂広くて良かった。

 なんとか、大きな事故なく過ぎました。


 それにしても、やっぱりすごいです。

 もう、戻れないかもしれないです……。


 。。。。。



 前略。


 もう、なし崩し的に、ベッドも一緒に。

 そりゃ、嬉しいですけど、普通がいいです。

 いきなりすぎて、頭が追いついて行きません!挟まれてます。眠れるか心配です。



 ◇◇◇◇◇



「おはようございます!起きてますか?」


「あ!早見さん。おはようございます。」


「なんか、眠そうですね。」


「ちょっと、昨日は遅かったんで……。」


「なるほど。ほどほどにね。

 じゃ、準備できたら、行きますよ。」


 なんか、勘違いしてそうだけど……。



 ◇◇◇◇◇



 東日本州支社・会議室にて。


「昨日から、TV出演依頼が18本来ています。

 できれば、全部ではなくていいので、何本かは、出てもらいたい。とのことです。

 あと、CM出演の依頼も5本来ていますね。

 こちらは、なるべく受けてもいいんじゃないですか?結構な額が提示されてますので。

 ミーチューブもありますが、これは全て断っておきますね。やるなら、こちらでアカウント取りますから。

 ツッタカターは、早めにアカウントを作りましょう。」


「ちょっと、すごいことになってますね。」


「いえいえ、これくらいは大したことないですよ。もっと来ると思いますから。

 でも、私が完璧にマネージするので、大丈夫ですよ。私が完璧にこなしますので。できる女なんですよ。なんせ、専属担当ですからね。」


「早見さん、もしかして、専属担当ってすごいことだったりします?」


「はぁ!そんなことも知らないんですか?

 憧れの職業じゃないですか!

 専属担当になるだけで、給料は2倍以上ですよ!2倍!以上!

 仕事は大変になりますけど、こんなやりがいのある仕事が他にありますか?

 ないでしょうよ!あるはずがない!

 認められたものだけが、つける職業なんですよ!

 誰にでもできるものではないんですよ。

 私は大丈夫ですけど。」


 すごい、マシンガントーク!

 熱すぎる!そんなすごいことだったのね!

 早見さんって、エリートなんだな。

 しかも、この気さくさ。できる女性です。


「それじゃ、時間がもったいないんで、次々決めて行きますよ。」


 うーん、今日は、ダンジョンに行けないかも……。

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