クトゥルフ神話は全然知らないけど楽しめている

私のクトゥルフ神話に関する知識は、Youtubeでクトゥルフ神話TRPGを楽しんでいる動画をいくつか見たことがある程度です。

作中に登場する神々の名前でピンとくるのは、アニメの題材にもなったことがあるナイアーラトテップくらい。(私は観たことはないですし、覚えていたのはニャルラトホテプの読み方の方でしたが…。)

ので、本レビューは本作をクトゥルフ神話モノとして楽しんだ上でのレビューではないことを予めご承知おき下さい。

私が考える本作最大の魅力は、主人公が非常に魅力的な点です。

彼がまぁ、とにかく可愛い。

物語開始当初は10歳の子供。
400話突破した時点で13歳を超えましたが、まだ膝に乗る大きさ。

邪神の視座を与えられてしまったことで、子供に似合わない諦観を滲ませることが少なくないし、世界の脆さ儚さを知ったせいで多くのものに価値を見いだせなくなり、あらゆるものを見下し冷酷な言動をすることもままありますが、年相応に無邪気にはしゃぐこともあるし、年上のお姉さん達にいいように可愛がられてしまうことも多々あるし、母親代わりのような邪神(この世界で一番の美人)に甘えてふにゃふにゃになっていることもある。

ギャップが可愛い魅力的なキャラクターです。

また、ヒロイン(と思われる)キャラクターたちは、全て「キレイな年上のお姉さん」を体現したようなキャラクターばかりということもあってか、おねショタものとしても琴線に触れる方も多いのではないかと思います。

そのヒロインの描き方も好みです。

よくある主人公が愛でるだけのヒロインではなく、お互いに依存しつつも、しっかりとお互いがお互いを支え合っている様が描かれていて、彼らが惹かれ合うことにちゃんと説得力を持たせることに成功しています。

ヒロインとはいっても、基本的に主人公が一方的に可愛がれているだけで、性的なものを匂わせる描写はほぼありませんので、それらが苦手な方も安心です。

また、作中で起こるイベント自体は、ファンタジーとして非常にオーソドックスで王道に即したものが多いのですが、ここにクトゥルフ神話のエッセンスを加えることで、テンプレートから少し逸脱しつつ、「やはりファンタジーはこうでなくては」というイベントもちゃんと用意してくれているので、非常に安定感のある展開を期待出来る点も気に入っています。

さらに加えて、主人公の立ち位置からくる、強者ムーブも個人的には気に入っています。

主人公個人の戦闘力は、魔術もほとんど使えないし若いこともあってか大したことはないのですが、なにしろ彼を庇護しているのがクトゥルフ神話の外神達ですので、手段を選ばなければ負けることは決してないという、絶対的な優位性が優越感を刺激します。

理由はまだ不明ながら、主人公は絶対的な存在である邪神達が傅く存在。

その主人公はその邪神達ですら劣等存在として見下すような振る舞いをし、邪神達もそれを当然のものとして何故か受け入れるため、読んでいると優越感だけでなく、承認欲求、支配欲、征服欲といった感情を上手く煽られているような錯覚を覚えます。

率直に言ってTUEEモノも好きなので読んでいて気持ちよくなれる点も好きです。

とはいっても、じゃあ本作がTUEEモノに分類されるのかと言えばそうとは言い切れず、邪神に頼るのはあらゆるリスクを孕んでいるため、それを控えて基本的に熱い戦闘シーンが描かれる程度には頑張って戦闘しているので、そういうのが苦手な方が敬遠する理由にはならない点も良い点かもしれません。

気づいたらめちゃくちゃ長くなったのでこの辺で締めますが、個人的にはクトゥルフ神話がどうのこうのではなく、ファンタジーが好きな方、おねショタが好きな方、特別感を味わいたい方にはあまねくおすすめしたい作品です。

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