第27話 08時13分

 川沿いを抜けた俺と久梨亜。学校まではあと少しだ。この先は駅前を通過して少し行くと学校である。

 さすがにここまで来ると電車通学の学生の姿が増えて来て。久梨亜はというと――。


「ゴウちゃん。また遊びに行きたいね。今度は――海がいいかなー」


 優等生バージョンである。うん。ぶっ飛んだことは言っておらず。普通に話しているし。立ち止まることなく普通に歩いている。何かにふらふら寄って行くこともない。たまに知り合い?が抜かしたり。会ったりすると軽く会釈や、少し挨拶。ということもしている。でも俺が居るからか。少し話すとすぐに俺のところに戻って来る。いや、俺はね。知らない奴ばかりなので久梨亜と一緒に挨拶。ってのもだし。久梨亜が話しかけられていてもまあちょっと離れて止まるだな。そして目が合ったら軽く会釈のみする。それがいつもの俺である。ってか――お前は神様なのか?という感じでみんなに拝まれているような感じで久梨亜は駅前辺りからは歩いていたのだった。うん。先ほどまでのガキの姿はどこへやら……お淑やかというのか――まあ普通というのか。まあちゃんと高校生?をしている久梨亜だった。


「ゴウちゃん?話聞いてる?」


 すると久梨亜が俺の腕を突っ付いてきた。


「うん?あー悪い聞いてなかった」

「もう。話はちゃんと聞くこと。いい?」

「……何だろう。ムカつく」


 うん。俺は先ほどまで散々振り回されていた。でも今は周りに学生が居るからか――優等生久梨亜。俺も周りの視線あがるのであまり言えないし――って今の感じだと俺久梨亜に説教されているみたいなんですが。ほら、周りからなんか笑みがというのか。笑いだな。うん。俺笑われてないか?


「ゴウちゃん新学期なんだから。ピシッとしないと」

「——」


 なあ、マジで全員。学校中。校内放送とかでバラしてやっていいか?それか明日以降の動画撮って流してやろうか?先ほどまでの久梨亜の様子を今すぐにでも誰かに言いたい。撮影してあったらマジで学校で流してやりたい。

 もしかしたら間抜け久梨亜というキャラが知られることにより。今まで以上に久梨亜にみんながもっと話しかけてくる可能性もあるからな。うん。マジでしたい。そうすれば、久梨亜が周りの相手をしないといけないことになって――俺解放される可能性があるからな。

 でも……何故だか見せたいが見せたくないというような不思議な感じなんだよな。マジでバラしてやりたいのに――バラしたくないという気持ちもあるというか――って俺は何を言っているのか。あっ。そうか。既に疲れているんだな。久梨亜のせいで新学期早々お疲れの俺でしたと。


 とりあえず駅前では特に何もなく。普通にいつも通り久梨亜と話しながら通過したのだった。まあ話しながらというのでも俺が楽だったということはないんだがね。だって今も言ったようにいろいろな感情が――だからな。もやもやというのか。爆発しない俺に久梨亜は感謝するべきだろ。普通に笑顔で優等生ぶっているが……俺超大変。

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