イタズラをする博士と助手の話


「あぁー、もう疲れたよー。」


僕と博士の二人しかいないこの研究室では、博士の弱音が響く。


「ちょっと、博士、そんなどんな薬品が落ちているか分からない床で寝ないでくださいよ。」


「そんなこと言われても疲れたんだよ。」


「それだったらあっちのソファーで寝てくださいよ。」


「そこまで行くのが面倒だ。君がお姫様抱っこで連れて行ってくれるなら考えよう。」


「却下です。はぁ、もういいから立ってくださいよ。まだやらないといけない実験は残っているんですから。」


「それなら、君が私を立たせてくれよ。ほらっ」


博士は右腕を上にあげる

そんな博士に少しため息をつきながら、僕は博士の手を取り、立たそうとする。


「……ちょっと、博士、腕を引っ張らないでください。早く起きてくださいよ。」


「……」


「って強い強い強い!だから引っ張らないでくださいって!」


「ふふふ、相変わらず非力だね~、ほらほら頑張れ。」


ニヤニヤしている博士は僕を引っ張る力を強めながら、そう言う。

……イライラしてきたな。


腹が立った僕は博士を引っ張っていた手をほどき、博士の頭をぐぐぐぐぐと下に押す。


「もう知りません!一生寝転がっててください!」


「痛い痛い痛い痛い!それ止めろ!」


「止めて欲しければ、自分で立ってください!」


「ぐぬぬ、仕方が無いな……」


博士は渋々、自分で立ちあがる。


「もう、可愛い博士の可愛い君に対する、可愛いイタズラじゃないか……」


「まだまだ、やることは残っているんですよ。そんなイタズラをするぐらいならちゃんと実験をしてください。」


「はいはい、分かったよ。」


「はいは1回!」


「はーい」


「はぁ、それじゃあやりますよ。博士、そこのビーカーを取ってください……って何、ソファーで寝ようとしているんですか。」


「えっ?君がさっき言ったんじゃないか。寝るんだったら、あっちのソファーで寝てくださいって。」


「…………いい加減にしなさい!実験するって言ってんでしょうが!」




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