第22話 さて行くか

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 10月14日(日)


 俺とこころは、北地区の公園で一夜を明かした。

 太陽の光を直に浴び、目が覚める。マップに映っていた点は全て昨日のゲームが終わった時点で消えていた。


 今日はどろけい最終日だ。今まで死んでいった人の分まで生き残らないと。

 ブーブーブー、ブーブーブー。


【本日のゲームは9時から行います。学校に登校しなくて構いません】


 学校に登校しなくて構いません。って、毎日毎日同じ文章を送りやがって。


「さて行くか」


「行くってどこに?」


 こころが首を傾げる。


「学校にだよ。こころも行くぞ」


「う、うん」


 俺とこころは学校に向かった。


「なんで学校に行くの?」


「ちょっとお話をしにね」


「ふーん」


 学校に着き校舎に入る。

 途中警察の奴、何人かが俺とこころを不思議そうに見ていたが気にせず2年C組の教室の前まで来た。


「俺の予想が正しければ」


 ドアをスライドさせ中に入る。


「やっぱり」


「おー、おはようはやと! こころ!」


「林先生」


 俺の予想した通り教室にはゲームマスターこと林先生がいた。

 いつも通り何ら変わらず教卓の前に立っていた。


「はやともこころもずっと見てたぞ。今日で最後だから頑張るんだぞ! 先生期待してるからな」


「洋一から全部聞きました」


「うん。それも知ってるぞ。見てたからな」


「なら話が早いです。お前の目的はなんだ?」


「はやと、先生に向かってお前はないだろー」


「何が目的でこんなことしてるんですか?」


 こころが林先生に聞く。


「こころは言葉遣いがちゃんとできてるな。いいぞ教えてやる。何が目的かってゆうのはただの仕事だ。俺だってこんなことやりたくてやってるんじゃないんだぞ。新国家での仕事だ」


「仕事?」


「そうだ。今は残念だがここまでしか言えない。今日生き残ったら諸々全て話そう」


「あんたのせいでみんな死んだんですよ!」


「そのことは先生も悲しい。なにせこのクラスの担任だからな。でも国で決められたことだから先生にはどうしようもなかったんだ」


「なんだよそれ」


「それよりゲーム開始までもうそんなに時間はないけどいいのか?」


「そうですね。続きは、絶対生き残って全部聞きますからね」


「期待してるからな」


 ドアを勢いよく閉めて教室をあとにし、また公園に戻った。

 ゲーム開始の時間が近づく。特別ルールはまだ続くのか?

 ゲームが始まったらマップに再び点は現れるのか?

 昨日警察と接触していたのは誰だ?

 第2の殺人鬼は?


 これらのことが頭の中をグルグルと渦巻く。

 ブーブーブー、ブーブーブー。


【9時になりました。どろけい最終日スタートです!】


 ブーブーブー、ブーブーブー。


【ゲーム開始に伴い、連絡があります。1つ目、特別ルール2を終了とします。2つ目、只今から特別ルール3を追加致します。特別ルール3:9時30分以降から北地区エリアの立ち入りを禁止する。9時30分以降、北地区エリアに入った者は脱落とする】


 特別ルールは続くのか。

 マップを確認すると画面上の点は表示されていなかった。


「はやと、ここ北地区だよ!」


「後30分か」


 北地区の立ち入り禁止は厳しい。

 西地区は隠れるような所が少ないし、学校は警察側の本拠地みたいな場所だ。あそこに逃げ込むなんて死にに行くようなものだ。


「西地区に行こう」


「うん!」


 選別ゲーム最終日、警察6人対泥棒6人による最後のどろけいが始まった。

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