第9話 誰が指揮するの?

—1—


【峰岸俊介、八木明日香により確保。泥棒チーム残り10人】


 リーダーである俊介が捕まった。

 俺とまなみは俊介たちのおかげであの場を逃げ切り、桃の家に戻ってきた。


「はやと、俊介捕まっちゃったんだね」


「俺とまなみを庇って捕まったんだ」


「まなみが俊介にばっかり頼ってたから俊介は」


 まなみが責任を感じて顔を伏せる。


「まなみだけじゃくて、俺もみんなも俊介に頼りっぱなしだったんだ。まなみだけが悪いってことは無いよ」


「そうだよ、まなみちゃん」


 桃がまなみの頭を撫でる。

 ブーブーブー、ブーブーブー。


「もしもし」


『もしもし。じゃないよ、俊介まで捕まっちゃたじゃない! これからどうすんの? 誰が指揮するの?』


 電話の相手は里菜だった。

 これからのこと。


 そして、誰が今後、泥棒チームを率いるか。

 俊介は最後に言った。俺に後は頼んだぞと。


「俺が指揮をとる。とりあえずは今まで通り逃げて欲しい。可能だったら建物の中が安全だから建物の中に入ってくれ。警察側も人の家の中までは、入って来ない」


『分かった。昨日の約束、忘れてないよね?』


 昨日の約束。それは捕まった剛の救出。

 そして、俊介も絶対に助け出さなくてはならない。


「あたりまえだ! 休憩まで逃げのびてくれ」


 電話を切る。


「俺が指揮をとるって何?」


「俺が俊介の代わりに泥棒チームのリーダーになる」


「はやとくんがリーダーかぁ」


「不安か?」


「ううん。はやとくんなら大丈夫だと思うよ」


「そうそう。はやとなら大丈夫だよ」


 桃もこころも賛成してくれた。

 まなみも頷いてくれた。


 ブーブーブー、ブーブーブー。

 次は、なんだ?


【酒井夏帆、桐谷亮により確保。泥棒チーム残り9人】


 夏帆が! やばい、完璧に忘れていた。

 逃げるのに夢中だったのと、電話してたのとで連絡入れるのを忘れていた。


「また、2人捕まった」


 まなみが呟く。

 ブーブーブー、ブーブーブー。


【今から15時まで休憩と致します。それぞれご自由にお過ごし下さい】


 時計の針は11時30分を指している。休憩時間が長いな。


—2—


「どうしますか、マスター? 特別ルールを追加しますか?」


「いや、まだ早い。後半戦もこのまま見守ろう」


 モニターを見つめる3人の姿があった。

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