マダミス 振り返り&ポイント集計

【マーダーミステリー】透明人間は見えない【アキラ/アキト視点】《指宿アキラ》

同接:536人



「これにてマーダーミステリー『透明人間は見えない』閉幕となります。皆様、お疲れ様ですわ~」

「お疲れ様でした~」

「……おつかれさま」

「お疲れさまでした!!」

「あ、ここから先はもうコメントを見ていただいても問題ありませんわ~」


 およそ2時間に渡って議論が続いた推理ゲームが、ひとまずエンディングを迎えた。


 ふぅーっと息を吐き、GMの伊崎ミサキさんの発言でコメントを開いた。


 およそ2時間ぶりのコメントで、見るのが少し怖くなる。


 もしかしたら検討違いな推理をしていて、罵倒コメントが殺到しているかもしれない。


 自分としては納得していたが俺のに対して、批判的な意見があるかもしれない。


 恐る恐る、流れるコメントをチラ見する。



コメント:お疲れさま~!!

コメント:あっという間だね!!

コメント:おつー

コメント:ベストエンド?いや、ベターエンドか?

コメント:エンディング何種類あったんかな?

コメント:おもしろかった!!



 ……とりあえず、いま流れているコメントは大丈夫そう。


 各キャラクターの思惑が入り乱れる中、たったひとつのエンディングにたどり着いた。


 エンディングルートB。


 この終幕が最善か、最悪かは、これから全てが明かされていくことになるだろう。


「さて、それでは今回の事件を振り返りながら皆様方の得点を集計していきたいと思いますわ!!」


 まぁ、エンディングがどうであろうが、ミッション達成によって獲得できたポイントが多い人がこの推理ゲームの勝者だ。


 正直ポイントにはあまり期待していない……というのも、1個ミッションを放棄しちゃってるしね。


「では、最初はPLプレイヤー1のアキト役をやっていただきました、アキラさん。あなたに与えられたミッションをお教えてくださいませ!!」


 さっそく自分の番が回ってきた。


 配信終了の時間も迫ってきているようだし、コンパクトにささっと終わらせよう。


「えーっと、それじゃあ手短に。『ミッション①自分が犯人として投票されない。真犯人が自分以外にいた場合、その人に投票する+5点』……だけど、これは不達成だねー」


 今回の事件の犯人はカズトだ。


 それはエンディングの描写からみても明らかだ。


 だから、カズトに俺はこのミッション達成に失敗しているわけだ。


「え? どういうこと? 確か最後の得票ってアキト1票でカズト2票だったから、アキトとスバルがカズトに入れて、トーカがアキトに入れたんだと思ってたけど……」

「……トーカはスバルの推理を信用してカズトに投票してる」

「えぇっ!?」

「実は最後の投票ですがトーカとスバルがカズト投票で2票、アキトはアキト投票で1票──つまり自投票しているんですの」


 GMが投票の内訳を語ると、俺以外の2人は心底驚いたような表情を見せた。


 Vの顔だけども。


 あまり表情を動かさない井川君ですら、いつもより目が少し開いていたから相当驚いているみたいだ。


 だから俺は投票フェーズ中に考えたことをここで打ち明ける。


「いやー、HOハンドアウト読んでみるとアキトってすごい家族思いの子なんだよね。だから、この子の視点に立ったら実の弟であるカズトに投票できないんじゃないかなーって思って、そうしたら実の妹のトーカとスバルにも投票できなくて、色々考えて最終的には自分に投票しちゃった」


 得点を捨てる行為をしてしまったわけだが、不思議と気持ちはスッキリしている。


「はい。アキト視点に立った時にアキトだったらこうするんじゃないかと読んで、自らに投票したということですわね!! 今回の事件の犯人はカズトですので、ミッション①は達成ならず……ですが、個人的にはGM権限で100点くらいあげたい気分ですわね!!」

「ほぇー、そんな考え方もあるんだねぇ」

「……なるほど……その発想はなかった」



コメント:あそこで自投票はびっくりしたね

コメント:まぁ、らしい選択だと思うよ

コメント:アキラが最初より口調が砕けた感じになってるね

コメント:そりゃ長男だからな。次男だったら……

コメント:配役のおかげでフランクに話せるようになってるな

コメント:あれアキトが最多得票だったらどうなってたんだろう?



「あ、いまコメントであったんだけど、アキトが最多得票だった場合ってどうなるの? カズトは生き残れる?」


 これは、気になっていたことだ。


 あの自殺は、カズトが最多得票になったから起きたんじゃないかって。


 だから、もしカズト以外が最多得票だったら、カズトは死なずに済んだんじゃないか。


 そう思って聞いてみたけど、返ってきたのは期待した答えじゃなかった。


「えーっと、ネタバレをしてしまいますと、このシナリオのエンディングは全部で5種類ありますが、残念ながら全てのエンディングで屋敷を燃やしてカズトは死んでしまいますわ」

「そう、なんだ……」

「えー、なんか悲しいね」

「……死なないルートもあると思ってた」


 エンディングが5種類というと、アキト、カズト、スバル、トーカがそれぞれ最多得票になる4つのエンディングと、投票がバラけて誰も最多得票者にならないエンディング1つで5つ、ということだろう。


 その全てにおいて、カズトは死んでしまう運命にあるという。


 いや、どんな結論を3人が出そうともカズトは死ぬつもりだったと、そういうことなんだろうな。


 きっと。


「アキトが最多得票のエンディングでは、アキトが『自分は犯人ではない』と弁明している間に、いつの間にか屋敷に火の手が回り、外に逃げ出したところで駆けつけた邏卒らそつに逮捕されてしまうという流れになりますわ。カズトについての詳しい描写はなく、後日焼け跡から2つの焼死体が見つかるということで、カズトの存在を匂わせるような結末となりますわ」



コメント:自分は逮捕されて、屋敷と弟を失うのか……

コメント:あっぶなw

コメント:一歩間違えてたらそうなってたのか

コメント:これどのエンディングも救いないんじゃねぇか?

コメント:全員逮捕エンドとかあるんじゃねw



 そうか……。


 結局、どんなエンディングに向かってもアキトがカズトを救うことはできなかったのか……。


「ただっ!! 皆様が選んだルートB──つまり真犯人に到達したこのエンディングのみ、カズトと3人が会話をする時間があり、尚且つ残された3人は誰も逮捕されないという結末になりますわ。なので5つあるうちのベストエンドはこのルートBだと思いますわ」


 なるほどねぇ……だったら俺も素直にカズトに投票しておけば──いや、それは結果論だな。


「さてさて、話が逸れてしまいましたが、ポイント集計の続きと致しましょう」


 おっと、そうだ。


「えーっと、『ミッション②11年前、母に何が起きたのかを明らかにする。エンディングまでに証拠となるアイテムを回収する+5点』似たような内容だから続けて『ミッション③1年前の火事の真相を明らかにする。エンディングまでに証拠となるアイテムを回収する+5点』なんだけど……これはたぶんミッション②は失敗でミッション③が成功……かな?」


 ミッション②と③はスバルとトーカが証拠品を確保していたから交渉でなんとか交換してもらうしかなかったけど、結局確保できたのはスバルが持っていた方の証拠品だけだった。


「はい、その通りですわね。これは証拠品となるアイテムを獲得しないとミッション達成とはなりませんので、ミッション③のみ達成ということで+5点となりますわ」

「なるほどね!! だから日記を欲しがってたんだ!!」

「……アキラ、ごめんね」

「いや、大丈夫だよ。俺もちょっと交渉材料をうまく集められなかったからね」


 ミッションを達成できなかったからって怒ったりはしない。


 トーカに関しては相手の欲しがる物を俺が提示できなかったのが反省点かな。


 スバルも別に交換するメリットがなかったのにノリで交換してくれたような印象だったから、正直0ポイントでもおかしくなかったかなという感じ。


コメント:アキトがスバルの下着と交換したやつね

コメント:アキラがマドカの下着と交換したやつね

コメント:おいw

コメント:風評被害で草

コメント:『服を返して欲しかったら日記を返せ』はさすがに笑ったわ

コメント:【悲報】アキラ、コラボ相手の女子の下着を人質にとる

コメント:でも事実だからなぁ

コメント:※あくまでゲーム内でのやりとりです



「ということでアキラさんは、0ポイント、0ポイント、5ポイントで合計5ポイント獲得になりますわ!! おめでとうございます」

「まぁ、ポイントが取れただけマシかな」

「おめでとー!!」

「……おめ」



コメント:おめでとう!!

コメント:お疲れさん

コメント:0点はなんとか回避したな!

コメント:さすがに最下位か?

コメント:アキラにしては珍しく負けたね



 コメントでも言われてるように最下位は免れないかなぁ。


 薄々勘づいていることではあるが、もしミッション①の内容がみんな同じなら、真犯人に投票できてる2人は少なくとも5点獲得できてるわけだしね。


 まぁでも、楽しかったから別にいいかな!!


 そんなこんなで俺のポイント集計が終わり、次の集計に移る。


「どんどん参りましょう!! それではPLプレイヤー2のトーカ役をやっていただきました、井川さん。あなたに与えられたミッションをお教えてくださいませ!!」

「……『ミッション①自分が犯人として投票されない。真犯人が自分以外にいた場合、その人に投票する+5点』……アキトと同じミッション。たぶんスバルもミッション①は同じ? ……とりあえず、トーカはカズトに投票したからミッション①は達成」

「はい。ミッション達成ですので、5点獲得ですわ」

「うん、やっぱりそうか」

「だよねー」


 やっぱり、ミッション①は皆いっしょみたいだね。


「……『ミッション②薬のレシピを回収する。エンディングまでに証拠となるアイテムを回収する+5点』……これもクリア」


 ふむ……推理フェーズの最後にスバルにレシピが欲しいって言ってたのはこのためだったのか。


 だったら、スバルがレシピを交換したから、これもクリアだ。


 ……と思ったんだが。


「ちょっとお待ちを!!」

「……え?」

「くふっ」


 GMがストップをかけた。


 そして、黒い笑いが隠せない一円。ならぬスバルがいた。


「井川さん──いや、トーカさん。あなたがスバルさんから受け取った薬のレシピを全体公開してくださいませ」

「……わかった」


 困惑気味のトーカが公開したのは1枚の証拠品カード。


 これは後半議論フェーズ時にスバルが獲得していたカードだ。



ーーーーー

【EX(地下実験室)②】

『アイテムカード』……薬のレシピ


「還元薬」と呼ばれる薬のレシピが記されている。

材料は「純水」「メチルアルコール」その他化学薬品の名前が記されている

筆跡は荒く、何度か修正された後がある。

材料は何十種類とあり分量もそれぞれ異なる上、製法は複雑だ。このレシピを見なければ作ることなど不可能であろう。

ーーーーー



 ……とくにおかしなところは見当たらない。


 これぞまさしく、トーカが求めている薬のレシピなんだろう。


 なぜトーカが還元薬──エンディングでカズトが『体の色が戻る薬』と呼んでいたモノのレシピを欲しがっているのかはわからないけど。


「それではスバルさん。あなたが所持しているカードを皆様に公開してくださいませ」


 GMがそう促すと、スバルも1枚の証拠品カードを開示する。



ーーーーー

【スバルの所持品②】

『アイテムカード』……薬のレシピ


「還元薬」と呼ばれる薬のレシピが記されている。

材料は「純水」「メチルアルコール」その他化学薬品の名前が記されている。

材料は何十種類とあり分量もそれぞれ異なる上、製法は複雑だ。このレシピを見なければ作ることなど不可能であろう。

ーーーーー



 これは確か、スバルが最後まで明かさなかったカードだ。


 それぞれのプレイヤーは最初から所持品カードを2枚持った状態でスタートするが、後半フェーズ開始時には必ずどちらか1枚は全体公開しなければならないというルールがあった。


 このカードは、その時にスバルが開示しなかった方のカードだ。


 内容を知られたくなかったカード。


 ここには、さっきのカードとほぼほぼ同じ内容が書かれている。


 同じカードが2枚?


 いや、少し文言が違う……。


 【EX(地下実験室)②】の方には『筆跡は荒く、何度か修正された後がある』という記載があるのに対して、【スバルの所持品②】にはその文言がない。


 つまり……どういうことだ?


「……まさかっ!?」


 トーカが何かに気づいたかのように声を震わせた。


「先ほどのエンディングでカズトさんが言っていたこと、皆様は覚えていますか?」


 GMが静かに問いかける。


 エンディングでカズトが言っていたこと?


「『還元薬を投与してもらうことで僕は「普通の人間」として生活できていた』そして『母は父から還元薬のレシピを盗んで女使用人に渡した』」


 ──でもそれって、おかしくはありませんか?


「母親がレシピを盗み女使用人に渡したのが11年前のこと。でもそれから1年前に火事が起こるまでの間、カズトは還元薬を投与され普通の人間として生活できていたんです。


 っ!?


 確かに。


 言われてみればその通りだ。


 10年もの間、レシピもないのに還元薬が存在していたとこになる。


 ならその10年間、カズトは一体何を打たれていた?

 

「そう。実は【EX(地下実験室)②】は、レシピを盗まれたメナシトーヤがうろ覚えの記憶で書いた『誤ったレシピ』なんです」

「誤ったレシピ?」

「カズトはこんなことも言っていましたね。『実験に協力させられていたせいなのか、それとも還元薬を飲み続けてきたせいなのかはわからないが、ここ数年、僕の目は霞んで見えなくなってきたんだ』これは、誤ったレシピによってできた不完全な還元薬を摂取し続けたことによる副作用。本物のレシピにはこんな副作用は存在しません。そして本物のレシピは11年前に女使用人へと渡り、スバルへと継がれました。それが【スバルの所持品②】」

「はぁー、なるほどねー」


 なるほど。


 つまり、11年前を境にレシピは2つ存在したんだ。


 片方はメナシ家に受け継がれてきたレシピで、これは最終的にはスバルに渡った。


 もう1つは、そのレシピを思い出しながらメナシトーヤによって復元されたレシピで、この屋敷に隠されていた。


 でも、複雑なレシピを完璧に覚えているはずもなく、副作用のある不完全なレシピになってしまったというわけだ。


 完全にアキトにとって関係のない話だから素直に感心していたが、当事者にとってはそうでもないみたいで、先ほどから声を唸らせるトーカとそれをなだめるスバルという構図が出来上がっていた


「……くっ、嵌められた」

「まぁまぁ、一応レシピはレシピなんだし、ね、GMさん!!」

「残念ながら、トーカのミッション②達成には偽物のレシピではなく本物のレシピが必要なのでミッション②は失敗、0ポイントですわ」

「……満点クリアできると思ったのに」

「……てへっ」



コメント:1円ちゃんもやるねぇ

コメント:まさに知将

コメント:後が怖いぞ

コメント:見える!後で別ゲーでぼこぼこにされる。の姿が!!

コメント:なんでアキラには普通に日記渡したんだ?

コメント:さぁ?

コメント:ノリじゃね?



「さて、それでは最後のミッションはなんでしょうか?」

「……『ミッション③「薬を飲むことで目が見えるようになる」ということを知られない。推理披露フェーズ時に誰も「トーカは薬を飲むと目が見える」という趣旨の発言をしない+5点』」


 先ほどよりも明らかにテンションが落ちた声で、トーカが最後のミッション内容を告げた。


 ふむふむ。


 あー、普通に目が見えるのかと思ってたけど、薬の飲むと見えるのか。


 だから還元薬のレシピを欲しがってたのか。


「……これはOK?」


 少し自信無さげにトーカが問う。


「はい。アキトさんは『薬を飲むと』目が見えるということは言っておりません。また、スバルさんは何やら気づいていた様子でしたが何も発言しませんでしたので……お見事5点獲得ですわ」

「俺は素直に分からなかったなぁ」

「……スバルにポイントを譲られた……屈辱っ」

「あはは、まぁさっきのお詫びだと思って、ね!!」

「ということで井川さんは、5ポイント、0ポイント、5ポイントで合計10ポイント獲得になりますわ!! おめでとうございます」

「おめでとう!!」

「おめでとー!! あとごめんね!!」

「……まぁしょうがない。アキラには勝ったからよしとする」



コメント:おめでとう!

コメント:満点クリア惜しかった

コメント:最下位じゃないからね!

コメント:普通に推理よかったと思う

コメント:またアキラとコラボしてやってくれ



 10ポイントか……まぁ、そりゃそうだよな。


 いやー、さっきは楽しかったからいいかって思ったけど、やっぱり負けが確定すると悔しいなぁ。


 なんとか最後に同率最下位とかになってくれないかなぁ……。


 まぁ無理か。


「それでは最後!! それではPLプレイヤー3のスバル役をやっていただきました、マドカさん。あなたに与えられたミッションをお教えてくださいませ!!」

「はーい!! もうみんな察してるとは思うけど『ミッション①自分が犯人として投票されない。真犯人が自分以外にいた場合、その人に投票する+5点』。やっぱりみんな最初のミッションは同じだったね!! スバルもトーカと同じくカズトに投票したからミッション①はクリアだね!!」

「はい。スバルさんも5点獲得ですわ」

「お願い!! 同率最下位で!!」

「……アキラ、諦めもかんじん」



コメント:2回りくらい年下にたしなめられるアキラ氏

コメント:www

コメント:今日はいろんなアキラが見れて面白いw

コメント:本当に推理とか苦手なんだなぁ

コメント:まぁ今回はエンタメ走った面もあるでしょ



「はい続いて『ミッション②「自分が一体何者なのか」を明らかにする。エンディングまでに証拠となるアイテムを回収する+5点』。これはね、正式に、トーカと交換して手に入れた【空き部屋】の『アイテムカード』焼け焦げた手記を回収したので、これでミッションクリアだと思います!!」


 『自分が一体何者なのか』を明らかにする……か。


 なんとも抽象的なミッションだなぁ。


 ただ、確かにメナシ家の子供の名前が記されている『焼け焦げた手記』なら、証拠品としてはふさわしいだろう。


 彼女は母親によって女使用人に預けられた、メナシ家の娘なんだから。


 だからもちろんこのミッションは……?


「はい、その通り。証拠品『焼け焦げた手記』をしっかりと交渉で回収しましたので5点獲得ですわ」

「あぁ、おわった……最下位確定だ……」

「……正式に?」

「くふっ。ちゃんと確認しないのが悪いんだよ?」


 バチバチっと、未だに火花が散っているように見える両者。


 この2人が現時点での同率1位だ。


 ただ、スバルはあとミッションがひとつ残っている。


 だからもうスバルの1位は確定していて、あとは順位が着くかどうかが、残りのミッションが達成できているか否かで決まってくる。


 彼女の最後のミッションは何だったのか。


 スバルが最後のミッションを口にする。


「『ミッション③「自分が透明人間」であることを知られない。推理披露フェーズ時に誰も「スバルが透明人間である」という趣旨の発言をしない+5点』」

「え?」

「……?」


 ……うん?


 まてまて……これって、あれ?


「……なんだけど、これ自分で言ってるね!! たぶんだけど!!」

「そう、だよね? やっぱり、聞き間違いじゃないよね?」

「……言ってた、ちゃんと」

「はい、皆様がお気付きの通り、スバルさんはご自身で、自分の正体を『両目以外が無色透明の透明人間』であると推理フェーズにておっしゃっていました。ですので、こちらのミッションは達成ならず、0ポイントとなりますわ」


 うん。


 スバルは確かに自分の推理フェーズで、家族全員の正体を推理披露した。


 だけど、それが実は隠さなきゃいけなかったことだったとは……。


 あまりに自然に口に出してたからまさかミッションだとは思わなかったなぁ。


「いやー、何で自分で言っちゃったんだろうねー。あれかな、トーカが『焼け焦げた手記』を公開してくれたのが嬉しくてミッション②クリアできそうって思ってミッション③の内容が頭から飛んじゃったのかな?」



コメント:やはりポツコンだったか

コメント:さっきは本気で感心したのに……

コメント:知将じゃなくて"恥"将だったか

コメント:いや、これがキャラクター心理を読み切った行動という線も……ないか

コメント:せっかく満点クリアできたのにね

コメント:これもトーカの罠よ



 彼女自身も本当にミッション内容が抜けていた様子だ。


 まぁもしそれが本当なのであれば、トーカのおかげでスバルがミッションをクリアできなかったわけで。


 トーカがスバルの1位独走を阻止した形になるのかな?


 まぁ3位の俺には関係ないか。


「はい、ということでマドカさんは、5ポイント、5ポイント、0ポイントで合計10ポイント獲得になりますわ!! おめでとうございます」

「おめでとう!!」

「……っふ」

「あぁ!? いま、鼻で笑った!! アキラさん、ひどいと思いませんか!?」

「え、あ、いやぁ、ははっ」

「えー、それではポイント集計の結果、アキラさんが5ポイント獲得で第3位。井川さんとマドカさんが10ポイント獲得で同率1位という結果となりましたわ!! 改めまして、皆様長らくの間ご視聴いただき誠にありがとうございました~ですわ~」

「お疲れ様でした。もしよければまた遊んでね」

「……お疲れさま。次やる時は満点目指す」

「お疲れさま!! もし次やる時はミサキちゃんも一緒にプレイヤー側でやろうね!!」

「そうですわね。ワタクシも次やる機会があれば一緒にプレイしたいですわ!!」



コメント:お疲れ様~

コメント:楽しかった!!

コメント:マダミスってこんなかんじなのか

コメント:アキラ残念だったな

コメント:またこのメンツでコラボしてくれ

コメント:このあとアキラが燃えませんように



 そうしてもう少しだけ──といっても30分から1時間くらい、あの場面はどうだったのかとかこの場面はどうだったのか、このシナリオについて皆で雑談をしつつ配信終了という運びとなった。


 もし俺が素直にカズトに投票していたら、3人全員10ポイント獲得で皆が優勝ってなったのかな?


 まぁでも、俺はあの投票に納得してるし、このエンディングにも満足してるからいいんだけどね。


 ……ただコメントは遡って見ないようにしよう。


 なんか荒れてそうな気がする……。


 初めての大人数コラボということで、最初はどうなることかと思ったけど長男という配役のおかげもあってか少しは距離を詰められた気がする。


 もし、これから3人ともっと仲良くなれたら年末に開催が予定されているFPS大会に誘おうかな、とは思うけど……OK出してくれるかな?


 ま、あと半年近くあるし、それに関してはもうちょっと考えてみるかな。


 何はともあれ今日は楽しかったな。







 後で別卓のアキト視点見に行こっと。











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