Slaughter Of Youth

まちゅ

退屈

この世界はとても退屈だ。

特に学生にはそう感じる人が沢山いるだろう。俺もその1人だ。


学校に行き、勉学を学び、家に帰ると課題を済ませ、予復習をし、残った時間でゲームをし、次の日に備えて寝る。


こんなものの繰り返しだ。更に一人暮らしともなると、家族団欒などもなく、「楽しい」や「心地良い」と感じることも無い。


しかもだ。

自慢ではないが、俺の場合テストは常にオール満点。全国模試1位。国内最高峰の大学への推薦も今の2年生の時点でほぼ確定。

学生の本文である勉学さえ、暇つぶしにはならないのだ。



「何か、退屈しないものは無いのだろうか…。」



そんなことを言っても、現実は何も変わらない。分かっていても、つい口に出てしまう。


「ほんと、どうしてこうなんだろうな…。」


ガタンッ!!

と、大きな音が鳴った。恐らく玄関の方からだ。


「…?誰だよ。こんな夜中に。」


恐る恐るドアを開けようと、ドアノブに手をかけたとき、微かな違和感を覚えた。

ドアノブから重みが伝わってきた。

推測するに、ドアの前に何か縋っている、もしくは、ものが置かれている。


それを確かめるべく、ドアに耳を寄せる。


「ッハァ、ハァ.........」


微かに人間の息遣いが聞こえた。しかし、息が荒い。


「おい、誰かいるのか?いるなら返事をしろ。」

ドア越しにいるであろう人物に問いかけた。


数十秒後、

「…ッ。ご、めんね。よかったら、ハァ…少しの間、入れてくれないかな…?」


声はおそらく10代後半から20代前半の若い男。俺と同じくらいか…。

よほど疲れている、もしくは、怪我をしているのか?いや、血の匂いはない。


「一先ず、中に入れる…か。」


「おい、中に入れるにもお前のせいでドアがあかねぇ。少しどけ。」


ドア越しにズッときぬづれの音がした。


ガチャ。

ドアを開けると隣には白髪の青年がいた。

容姿は整っていて、中性的な見た目をしている。からだに傷と思われるものはなく、疲労だろうとわかった。


「おい、立てるか?とりあえず中に入れ。話はそれからたっぷり聞かせてもらう。」


「分かった。ありがとう…。」


白髪の青年は疲労しきった体を持ち上げ、中に入り、玄関に座った。


いや、そこに座るのかよ…。


「ほら、肩貸すから、リビングまでいくぞ。」

「すま…ないね。」

彼は申し訳なさそうに謝った。



この時はまだ、予想だにしなかった。

この白髪の青年を助けたことによって、俺の退屈な日々が大きく変わることになるなんて…。






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