第2話 ぷいっ

月曜の朝、テツは隣の席のカナに話しかけた。

実はふたりの席は隣同士。最初の頃はいろんな話をたくさんしていたが、最近はあまり会話をしていなかった。

テツが声を掛けても、カナはいつもそっけない態度でぷいっと横を向いてしまうのだ。


「おいカナ、あの喫茶店お前の親父さんがやってたんだな。ビックリしたよ。あのさ、また行ってもいいかなぁ?」

「べ、別に。テツくんが行きたいなら行けばいいじゃん」


今日もカナはぷいっと横を向いてしまう。


「ありがとう。じゃあまた土曜日に寄らせてもらうよ。あー良かった。あの店めっちゃ居心地いいからさ。カナにもう来ないでって言われたらどうしようかと思ってドキドキしてたんだ」


テツがホッと胸をなでおろす。


「そ、そんなの私には関係ないし……。テツくんの好きなようにすればいいでしょ」


そう言うとカナは横を向いたままそそくさと逃げるようにどこかへ行ってしまった。

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