第14話




<図書室>



妹「……でねー、これがこうじゃん」


友「うん」


妹「で、これを代入。おしまい」


友「まるでわからん」


妹「まじですか」


友「まじす」


妹「わたしには向いてないんだろうか」


友「向いてない」


妹「それけっこーヘコむ」


友「……なになに、教師になるつもりなの?」


妹「え、いやべつに、ないない」


友「そうなのね」


妹「うん」


友「もしかして『姉先生と同じ職場がいい』とか考えて、この学校の教師目指しちゃったりするのかって思った」


妹「えー」


友「……」


妹「んー」


友「……」


妹「んー……」


友「……」


妹「…………んー」テレテレ


友「『まったく考えてなかったけど良いと思いました』みたいな顔やめい」


妹「えっ、友ちゃんエスパー」


友「エスパーもなにも姉先生のことになると、妹はわっっっっかりやすいから」


妹「そうかなあ」


友「そうそう、ほんとそれなって感じ。まじで真面目に」


妹「何その反応」


友「で、なりたいとか思っちゃったー?」


妹「うーんそうだなあ……選択肢のひとつに入れとく」


友「ありゃ、そうなんだ」


妹「うん」


友「その心は」


妹「おねえちゃんのことは、料理とかつくって待ってたいし」


友「ふわふわしてるようで将来設計しっかりしてんのねー」クスクス


妹「そんなことないと思うけど」


友「ふうん」


妹「考えたことなかったし」


友「意外」


妹「そうかなあ……」


友「だって、まずなぜか一緒に住むことになってんじゃん」


妹「え、住まないの?」キョトン


友「あっもういいっす。それでいいっす。スマセン」


妹「友ちゃんへんなのー」


友「……」


妹「……」


友「……」


妹「……」


友「そいえば、さっきからなんとなく触れなかったけど」


妹「うん」


友「乗ってる」


妹「うん」


友「……」


妹「……」


友「……」


妹「肩こるし」


友「いいよなあ」


妹「ふふん」


友「ドヤ顔やめろ! 分けろ!」





妹「……」カキカキ


友「……」カキカキ


妹「……」チラッ


妹「友ちゃん、そろそろ終わりにする?」


友「……おー、もうこんな時間か」


妹「明日もがんばろうね」


友「うん」


妹「わたし今日地下鉄だけど、友ちゃんは?」


友「ブス」


妹「バスか」


友「うむ」


妹「ちょうどいいのあるかな」


友「どうせ雪降ってて道路混んでるから時間通りには来なそう」


妹「なるほど」フム


友「……そういえば、今日まで返却期限の本教室に置きっぱだったから取ってくるね」


妹「わかった」


友「あ、妹は帰っててもいいよ」テクテク


妹「うん」テクテク


友「上行くと寒いしね」テクテク


妹「わかる」テクテク



友「……」ピタッ


妹「友ちゃん?」


友「妹、こっち」コソコソ


妹「う、うん」


友「……あれ見て」ユビサシ



姉「~~」ブンブン


司書「~~」


姉「~~……」


司書「……」ハァー



友「前から思ってたけど、司書さんと姉先生って仲良いよね」


妹「うん、そうだね」


友「どう思いますか」


妹「仲良い」


友「それを踏まえて、どう思いますか」


妹「踏まえて? えー、べつになにも」


友「仲良い以上のアレがあるとか思ったりしないの?」


妹「ないでしょ」


友「本当に?」


妹「ないよ普通に。ていうか、どうしてそんなこと聞くの?」


友「気まぐれ」


妹「友ちゃんたまにナゾ」


友「……妹の方がわたしにとっては謎だよ」ボソッ


妹「……? 何か言った?」


友「なんでもないやい」


妹「ふーん」


友「……」


妹「……」


友「覗きは良くないし、あっちから出ましょうぜ妹ちゃんよー」


妹「そうだね、二人とも楽しそうだし」


妹「……あれ、でも本取りに行かなくていいの?」


友「明日でいいや」


妹「ほんとに気まぐれだ」

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