第27話 神が藤亜十兵衛に見せる夢

 よう、○×▲■!

 お、間違った。

 今は『藤亜十兵衛』だったな。

 元気で生きてるかい?


 ――――おっととっ!


 人の顔を見るなり殴り掛かるのは、相変わらずだな。

 前より短気になったんじゃないか?

 天界ここで話すのは、愛しの少女を救い出した時以来か…………。

 あの時はいろいろ手助けしてやったんだ。

 少しくらい、俺にも感謝してくれないかな?


 仕事?

 ああ、そうだ。

 そうだとも。

 それも、俺の仕事だよ。

 前世現世来世に繋がる悪し深き因果律!

 それを読み解き、迷える子羊に救いの道を指し示す。

 それが、俺の誇り高き仕事。


 …………ぷっ! 

 あああははははっははっははっはっはっっはっはっはっ!!!


 ――駄目だッ!!

 自分で言ってて可笑しくてたまんねぇわ!! 

 こんなん仕事で出来っかよッ!!

 趣味だよッ! 趣味ッ!!

 苦しむお前を見て楽しんでるに決まってんじゃん!!


 どうよ!? 

 神々の生贄おもちゃとして生きる人生は!?

 神の尖兵として使われる気分は!?

 スリリングだろうっ! 悔しいだろうっ! むかつくだろうっ! 


 愛する少女は養父と義兄に輪姦まわされて!

 優しい母はすぐ死んで!

 育ったら育ったで、厄介払いで戦場だ!!

 良いことなんて何もないっ!!!

 な~~~んも、無いっ!!!

 それでもお前はほんとーに、よく生き残ってる!!

 えらい!

 大したもんだ!

 ぎゃあははっははっあははっはははっはははッ!!!


 だから、そんな君に助言をあげよう。


 ここから先は


 


 そうだ。

 我々とこの世界を造りし大神様と、別世界の旧神との御遊戯チェスの時間だ。


 近々、旧神の次の一手として界獣が一匹、お前の近くに具現する。


 それを討ち滅ぼせ。

 お前が守りたい者を守るためにもな。


 助力だあ?

 お笑いぐさだな。

 この程度で負けるようであれば、お前たちに用はない。

 虫けらのように死ね。


 ゆめゆめ忘れるなよ。

 お前たちが敗北しても、神々われわれはもう一度世界を造り直せばいいだけだ。

 あの少女を守りたいならば、その小さな命が尽きるまで抗え。


 ん?

 あれ…………なんか、懐かしいな。


 いま話してるこの言葉でさえ、お前にはとっては予言だが、俺にとってはただの思い出話の一つに過ぎん。


 そうか…………これは感傷か。

 そういえば、こういうものも持っていたな。 


 一応念のために釘を刺しておくが、エスメラルダ・パラ・エストラーダは殺すなよ。


 あれが死んだら大神様でもルール上、投了ゲームオーバーだからな!


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