第27話 桜咲いたら、新年度

 明日から新年度が始まる。新しい環境になる人は、期待と不安が入り混じってソワソワしている時だろうか。

 ここ数年は桜の満開がだいぶ前倒しになり、4月にはほとんど葉桜で残念という話が多かったが、今年は暖冬で開花が遅れ、開花と共に新しい門出を祝えそうだ。

 私が入社したのは、ちょうど昭和から平成に変わった年の4月だった。入社式や研修の後、配属が決まった。営業部で電話応対もままならない新人の私の最初の仕事は「昭和」と印刷されている大量の伝票に、二重線の上に「平成」の文字があるゴム印を押すことだった。それ一つで「昭和」を二重線で消して「平成」に訂正できるなんて便利なハンコがあるんだと感動したのを覚えている。

 アナログ過ぎるそんな些細なことで会社で働いてると実感していた世間知らずな私を、周囲の先輩たちがどんな目で見ていたのかと想像するだけで恥ずかしくなる。

 当時の事務仕事は、お茶くみ、伝票処理、会議の前準備などの営業の男性社員の雑務全般だった。秘書的な雑務をこなすことで、それぞれのルーティンを覚えて気配りをしたり、先回りして準備するなどの気を利かすことも身についたから、OL時代はそれはそれで楽しかった。

 今はOLと呼ぶのもお茶くみなどもNGな時代になったようだが、呼び名や仕事の大きさなどを気にする前に、まずは新しい環境やコミュニケーションを楽しんでみては?と思うことが、昭和なのか…。

 新入生、新社会人に、幸多かれ!

 

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