第23話 忙し過ぎる年末年始

 毎年思うのだが、日本は年末年始を特別視し過ぎな気がする。子供の頃は、年末年始は冬休みで心置きなくダラダラできて、お年玉をもらえるしそれなりに楽しかったが、大人になると、忙しいわ出費はかさむわ、楽しみなど微塵もない。

 あと◯日で今年が終わると煽られ、年賀状を書き、テレビや雑誌は大掃除の裏技で溢れ、年越しそばを食べ、おせち料理を用意し、年末を自ら忙しくして疲れているなんて、馬鹿みたいだ。

 そもそもおせち料理は、平安時代の朝廷で年に5回ある節に行う五節会の儀式の時の神様へのお供物だったのに、豪華にしないとダメな今の感じは間違っている。

 年が明けて、今年の目標を立ててもあと12ヶ月あるという無意識の余裕が急に生まれ、昨日までのせかせか感一気に失せ、3日も経てばなんてことない日常が戻る。

 昔、アメリカ圏のホームステイ先で年末年始を過ごした年があった。クリスマスは教会に行きそれなりに華やかだったが、大晦日はパーティでカウントダウンして年明けを祝うくらいで、元旦の朝はいつも通りにシリアルとフルーツだった。学校も2日から始まり、とても気楽だった。

 最近、SNSが普及して年賀状じまいする人が増えてきた。年賀状じまいついでに、大掃除じまい、おせち料理じまいをしたい。

 そう言いながらも、形だけはと、数を減らして年賀状を書き、いつもしない所を少し掃除し、一日分程度のおせち料理を用意してしまう私は、やっぱり日本人なんだなぁ。

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