第14話 高校スポーツを見てしまう訳

 WBCが盛り上がっている中、春の選抜高校野球も開幕した。開会式の前々日に行われた試合を見ていた時、大谷翔平のセイフティーバント、全力で球を拾いに行くヌートバー、主軸の村上の不安げな表情、指を骨折している源田の参戦、ダルビッシュの中継ぎ起用。一流選手だらけなのに、思わず「高校野球みたい」とつぶやいた。そのくらい、選手みんなが勝ちにこだわり、必死で、参戦できる嬉しさも伝わってくる熱い試合だった。

 熱烈な野球ファンなわけではないが、子供の頃から夏の高校野球はよく見ていた。ルールも分かり易いし、ちょっと年上のお兄さんたちが白球を飛ばし、追いかける姿は輝いて見えた。でも、高校を卒業してからしばらくの間、選手全員が年下になった事実に愕然とし、高校野球を見なくなった。

 大人になり、家族を持ち始めた頃からまた高校野球を見るようになった。子どもたちが中学に入った頃から、高校野球だけでなく、新年の高校サッカー、春高バレー、花園のラグビー、子どもと同世代の子たちの必死な眼差しに、応援せずにいられなくなった。

 プロの試合は明日がある。高校生の試合は、今日負けたら終わりの必死感。そこが違う。選手もベンチも一丸となって、一生懸命で熱くてずるくない。純粋でキラキラしてる。イイ子過ぎると思うほど、勝っても負けても、人を敬い思いやり感謝する選手の言葉に涙が溢れる。言葉さえ輝いている。

 キラキラに弱くなった私は、今日も声援を送る。



 

 

 

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