第7話 濃厚接触者の憂鬱②

 新型コロナに感染した夫のホテル療養の受け入れが決まるまで二晩あった。お風呂は我慢してもらったが、食事は出さないわけにいかない。家族が感染した友達の経験談を思い出し、とにかく部屋の物を外に出さないよう手筈を整えた。

 紙皿と紙コップ、割り箸、お手拭き、ペットボトル。添えたゴミ袋には「口をきっちり締める」と記入。初回、廊下にお盆に乗せて置いたら、食後、ぱんぱんに膨らんだゴミ袋がお盆と共に出されていた。理解してないって怖い。あわててゴム手袋をしてゴミ袋を別のゴミ袋に入れて外のゴミ箱へ捨てた。次からはお盆も使わず「中の空気を抜いてきっちり締めて部屋に置いておく」とゴミ袋に書いた。

 空きペットボトルがあまりなくて困ったが、使いかけの物を別容器に移したりしてなんとか乗り切った。

 ようやく夫がホテルに移った後、再び寝室から玄関までの床を消毒、寝室とトイレの消毒はちょっと躊躇した。コロナウイルスは約72時間で不活性化するらしいので消毒は数日待つとして、寝室の換気はしておきたい。完全防備で部屋に入ると、枕や布団からウイルスが漂って見える気がして、急いで窓を全開にした。

 丸3日換気し、寝室とトイレの消毒を始めようと思った矢先、喉に違和感と熱っぽいさが。最初の消毒の時の防備が甘かったかと感染を覚悟し、再び検査キットの封を切った。

 緊張して待つこと10分。陰性。なら、このダルさは。二日酔い?憂鬱な自粛生活はまだ終わらない。

 

 

 

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