乙女ゲーの聖女に転生したけど男は嫌いなので百合ハーレムを作りたい!

蒼真 咲

プロローグ



 私の名前は小松よう子。


 自慢じゃないけど私は容姿端麗な女の子。人は私の事を美少女と呼ぶ。なーんて……信じた? いや、本当なのよ?


 私は小さい頃から女の子が好きで、よく女の子と将来を誓いあったり、結婚の約束をしたりして遊んでいた。

 

 昔っからハーレム物の物語が大好きで、自分はハーレムを作るんだって小さいながら思ってたりした。


 そして、中学に上がる頃にはすでに私の周りには女の子ハーレムが出来上がっていた。


 高校は女子高を選択した。もちろん同級生のハーレムの子を全員引き連れて。


 私を中心とした百合ハーレム。その相手は、先輩もいるし、クラスメイトも下級生も、はてはOLさんもいた。私は結構惚れやすいので、今は手を出した人数も数えていない。


 もちろんこんなにハーレムの人数が多いと、刺されそうになったことも何度もある。だから私に忠実な女の子を侍らせて親衛隊を名乗らせたりした。


 そうなると私はアイドル扱いされて、一人、一人と私の彼女達は、私から離れて行ってしまった。


 所謂、アイドルの推しには触れない。彼女なんか恐れ多いとなってしまったのだ。


 別にそこまでは良かった。


 腐女子のハーレムちゃんから乙女ゲームを借りるまでは……。


 美形の男の子が相手の乙女ゲーム。別にお勧めされたからやってみた。それだけだった。



◇◇



 ゲームを始めて3時間か5時間たったか分からない。時間の感覚が無かった。


 ただ、ゲームの中とはいえ、男を相手にしなければならないのがとても気持ち悪かった。


 ただ、感想を求められていたので、我慢してプレイを続けていた。


 それが私の油断だったのか……。


 家の鍵をかけ忘れたのかは分からない。


 私はゲームに集中していたので、悪意に気が付かなかった。


 頭に衝撃を受け、私のお腹には包丁が刺さっていた。


 腐女子ちゃんだった。


 そういえば、名前も知らなかったな……。呼ぶときはハーレムちゃんか、腐女子ちゃんだったから名前すら憶えていなかった。


 ―――最低だ私。


 彼女が何か言っていたような気がするけど、もう分からない。


 どうせ……私が悪いんだとか言ってるんだろう。


 私は彼女に刺されて死んだ。



◇◇


 

 次に目が覚めた時、私はベッドに寝ていた。


 ぼんやりだけど、私は助かったんだと思った。だって私、生きているみたいだから。


 ベッドの周りには質素なテーブルが一つ。

 花が一輪生けてあった。知らない花だった。


 周りを見渡したけど、何もかもが木や藁で出来ていた。ベッドの布団がごわごわすると思ったら。藁が敷いてあって……ここはとんでもない田舎らしい。


 私は彼女に刺されたのだから病院に運ばれているはず。なのにここは病院では無かった。


 良く自分の体を見てみると体が縮んでいるし、手もなんか小さく感じる。


「私の手……小さい?」


 よく考えてみたんだけど、やっぱり私は一度死んだみたいだった。この体はどう見ても私じゃないし。ここは病院でも、私の家でもなかったから。……もしかして私、転生しちゃった?



◇◇



 ……どうやら私は転生したみたい。


 今の私の名前はマリィ。徐々にマリィであった記憶を思い出して来た。


 マリィはこの農家の次女として生まれた。姉の名前はサリィ。


 サリィは妹思いの優しいお姉ちゃんだ。


 両親は健在で、今の時間は畑作業をやっている。


 うちの家族は普通の一般市民、貴族から見たら平民にあたるごく一般的な家庭だった。


 私の記憶が正しければマリィは、私が死ぬ直前までやっていた乙女ゲーム「救国のエスパーダ」の主人公マリィにそっくりだった。


 マリィは10歳の時に聖女認定されて王都へ連れて行かれる運命だったはず。


 私は今、6歳だからあと4年後には王都に行かなければならない。


 私は女の子が大好きだ。


 前世で百合ハーレムを作ったのも女の子のハーレムが好きだったから。


 転生できたのは良かったけど……どうせなら好き放題女の子を侍らせることが出来る貴族が良かった。特に公爵令嬢なんて最高。転生するならあの悪役令嬢が良かったなぁ。


 だって……今の私はただの平民だから……ハーレムなんて望むべくも無い。


「はぁ……あ~」


 ハーレム作りたいなぁ……。


「どうしたの?マリィ」


「ううん……お姉ちゃん何でも無いよ?」


「そう?……お姉ちゃんね?マリィが高熱で倒れた時、死んじゃうんじゃ無いかって本当に心配したの。熱が下がって本当に良かったわ」


 高熱?そうか私が今寝ているのはそういうことなんだ。もしかして小松よう子としての記憶を思い出したのは高熱のせいなのかな?


「心配してくれてありがとう。お姉ちゃん」


 お姉ちゃんは、私と同じピンクがかった赤い髪の毛に綺麗な青い瞳をしていて、とても綺麗。多分私も主人公補正で可愛い顔をしている。ゲームで見たもん。


 よし、手始めにお姉ちゃんを落とそう!



「お姉ちゃん!私、お姉ちゃんのお嫁さんになる!」


「うふふ……いいわよ?結婚しちゃう?」


「やったぁ!約束だよ?絶対だよ?」


「ええ……約束ね?」


 もちろんこれが私の常套手段で、お姉ちゃんが本気で無いのは分かりきっている。


 こうして約束を破れなくなるまで、積み重ねていって……お姉ちゃんは私を裏切れなくなって……お姉ちゃんは私の物となるのよ?


 さて……ハーレム作らなくちゃ。


 もう前世のような失敗はしない。


 私は、聖女になったら、シスターを囲って侍らせるんだ!


 あの乙女ゲームの展開のような、美男子ハーレムなんてお断りよ!




読者様へ


ここまでお読みいただきありがとうございます。


これは、百合ハーレムを目指す女の子の物語です。


続きが気になると感じて下さいましたら、

☆♡にてコメント、応援よろしくお願いします。


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