第11話 新しい出会い

「いや~連れてきてくれてありがとうね、姉さん。」


俺は染めたばかりのサイドの触覚をいじりながらニコニコとお礼を伝えた。


姉さんも俺がご機嫌なのを眺めながら「どういたしまして」と微笑んでくれる。


いやぁいい店だったなぁ〜男性優遇とかでやけに安かったし。あと吉野さんの手際が凄かったんだよな。


ルンルン気分で車に乗りつつも時計を確認するとまだ16時だった。まだ16時なら大丈夫かと思い、今朝着替えようとした時にタンスの中を見て、服が少なかったことを思い出した。


「姉さん。我儘言うようで申し訳ないんだけど、服が少なかったから今から買いに行きたいんだけど、ダメかな?」


ダメもとで姉さんにお願いしてみる。


「あぁ、私は構わないぞ。その代わり、母さんには遅くなるよう連絡しといてくれるか?」


「ほんと?ありがとう姉さん大好き!」


「はぇ!!!?!!!?」


キキーーッ


なんだなんだいきなり!!!


「ちょ!危ないよ姉さん!!」


「悠がいきなり大好きとかいうからだろう!!まったく、運転中はやめてくれ、命がいくつあっても足りないぞ…」


それは俺のセリフなんだけどな…


「ご、ごめん…」


なんか理不尽だけど連れてってくれるから我慢しよ…




♦♢♦




しばらく買い物をしてようやく一息ついた俺は、このショッピングモールにきてからというものの、女性からの視線がすごいことに辟易としていた。

まぁ横に姉さんのような美人がいるから無理やり話しかけてきたりはしなかったけど。


ただ、どこへいっても視線は感じるんだよな。これは慣れるのに時間がかかるか。はぁ。


一人でこれからのことを考えて憂鬱になっていると、横に座っていた姉さんが

「ちょっといいか。急用で今から少し電話しなければいけなくなってしまった。悠をこんなところでひとりにはしたくないのだが、少し電話してきてもいいか?」

と申し訳なさそうな顔で聞いてきた。


「うん、俺は大丈夫だよ。ちょうどみたいところもあったし。あそこの店に入ってまってるよ」


「すまないな。なにかあったら全力で走って逃げるんだぞ。場所はこのフロアの突き当りにある男性保護局だ。そこに入ったらREENで知らせてくれ。」


そこまでいうと姉さんは申し訳なさそうに別の場所へ移動した。


それにしても男性保護局か、たかがショッピングモールにもそんな設備を設置しなければいけないほどとはな。まぁいいか。お世話になることはないし。


さて、俺が向かったのは電気屋の一部にあるゲームコーナーだ。この世界にはどんなゲームがあるのか気になっていたのだが、姉さんはこういうのに興味がないみたく、今この状況は好都合だった。


(おぉ~別世界とはいえ、案外アクション系が多いな。恋愛ゲームのコーナーは当たり前に女性向けしかないけど。それに声優さんも名義的に男性っぽいしな。)


俺は幅広いジャンルのゲームをやってきたので乙女ゲームにも抵抗はない。

ふむふむと、ゲームを物色していると、後ろから声をかけられた。



「あ、あの。今おひとりですか?」





☆あとがき☆

新しいヒロイン登場の予感!!


ついつい細かいとこまで書きたくなってしまい、進みが遅くてもやもやさせてしまっていたらすみません。

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