別に猫になりたいわけじゃないけど、猫が好きすぎてヤバいから。べ、別に猫になりたいわけじゃないんだからねっ。

星色輝吏っ💤

第0話 別にプロローグじゃないんだからねっ

 いや、あの俺……猫アレルギーなんだけど。


「猫だけど、猫じゃないので」


「まあ人間の言葉を喋る猫がいるはずないよな」


 猫が好きだけど、猫アレルギーになってしまい、テレビで見るくらいしかできなくなった俺に、猫耳姿の天使が舞い降りた。


 金髪に、白い猫耳の、とてもかわいい子ネコちゃん。


 体躯はとても大きいけど、そんなのどうでもいいくらい、愛らしい姿だった。


 心はうれしすぎてドッキドキだけど、顔に出すのは恥ずかしい。


 ……でも、この興奮を抑えて、猫に冷たくするというのは……違う!


 絶対に間違ってる!


「すいません。猫大好きです! ひ……ぃぅぃゃゅぅぁ〰〰。ふわふわの猫耳のふわふわのしっぽ、体は人間だけど……まあいいや。人間の体でも意外と柔らか――」


 ――バチンッ!!


「こ……このバカ――ッ!!」


 …………あ。……何も考えずに胸揉んじまった。


 理性を失っていた。本当なら、こっちで理性を失うべきだったんだろうけど、逆に我に返ってしまった。…………やべ。


「ご、ごめん。そんなつもりは……。猫に遭えたのがうれしすぎて、何も見えてなかった」


 俺が必死に反論すると、彼女は「それはわかってるけど、急に揉まないでよね」とため息交じりに呟く。それから俺の方を真っすぐ見つめて。その彼女は少し赤面しているように見えて。彼女のものではないはずのしっぽが、本物の猫のもののように、揺れ動いて。そして……猫になった猫は言う。


「私も、猫好きだから。私が猫になったのは、別に猫になりたいわけじゃないけど、猫が好きすぎてヤバいから。べ、別に猫になりたいわけじゃないんだからねっ」


 そんなツンデレ(?)台詞は、俺の耳に入っていなかった。俺の瞳は、猫のしっぽにくぎ付け……。


 ということで、久しぶりに猫に会うことができて最高っな俺の、青春の物語が今始まる!

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