田原総一朗、国長会談に出席する②

 まず、カラスムギの発言だ。

「共栄陣営との貿易制限についてだが、なぜこのような条件を突き付けられなければならないのか。教えてください」

すぐに、リツハンキュウの長が反撃した。

「共栄陣営との貿易制限は秘密で武器を購入する可能性があるからです」

「だが、貴国との貿易商品は共栄陣営から輸入したものを加工して作っている者なのです。貿易制限があると、我が国からの輸出もなくなります。それは痛手だと思いますが」

思わず、僕が反撃してしまった。


「次に、中立化とは具体的にどういうことか」

リツハンキュウが聞いた。

「我々が貴国に出した中立化とは、戦争に一切のかかわりを持ってはならないということだ。貴国はどうだ?」

ライが強く迫った。

「それは、貴国の条件と一緒だ。これまでの共栄の同盟国が戦闘を始めても、一切のかかわりを持ってはならない」

「分かりました、私たちも中立化を進めます」

これで、少し譲歩を引き出すことができた。


「そして、これが最後だ。なぜ武装解除なのか」

「当然だ、これからの戦闘に参戦できないようにだ」

「だが、もし他国から攻め込まれると、対応できないであろう」

「それなら、警察部隊で対応すればいい。というよりも前に、戦闘を起こさず降伏すればいいではないか」

「はぁ・・・・・」

長は黙ってしまった。


この沈黙を破ったのは、他でもない、僕、総一朗だった。

「もし、我が国が攻め込まれた時は、あなた方が止めてください。強大な制裁を行ったりして、戦争を絶対に止めてください」

「それができない国だったらどうするんだ」

「出来る出来ないは関係ありません。経済での協力など様々な課題があると思います。でも、世界平和というのはどの国もが願うことでしょう。経済は変えられるはずだし、元に戻せますが、人の命は二度と戻ってこないんですよ」


「僕はね、まだ子供の頃にとても大きな戦争を体験しました。目の前で人が死んでいって、死体を飛び消えたり踏んだりしながら歩くこともありました。政治家はそれはバカなもので、『相手を止めるために死ね、寿命はに十歳までだ』なんて教えていたんです。それを信じていたんですけど、戦争が終わって勝った国が我々の思想をただすんです。学校の先生はこれまでとは真反対のことを教えるようになりました。大人の言っていることは信じてはいけない、そう僕は思ったんです」

この話の間で相手を絶対、納得させなければならない。

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