十五の桜

 十五の桜


桜には

葉もちらりと覗いていた

花散らしの雨の後


校門を潜ると

詰襟が波のような

十五の春


桜降る降る

男子フルフル

事実上の男子校


桜がはらり

独り言ち

キミを待っていた


待っていたのは

肉とラーメンの好きな

キミ


上履きを間違えた

うっかりの

キミ


集合写真で

初めて最前列を免れた

キミ


楽しみはもう一つ

明日からキミのお弁当を

見せてくれるよね


五時に合わせた炊飯器

パパと自分の分二合

自立は始まっている


定期券を買った

お祝いに牛タン店で

わざわざラーメンを食べた


キミの思春期は

桜の校舎が

葉も散り行くとしても


元気な挨拶を重ねて

三年

進路が決まる頃


花ばかりではないと

気付くだろう

男子まみれも葉ばかりも


 いすみ 静江✿

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る