第二の部屋:精神面の検査準備

「なぁ、局長。俺たちこれでもう終わりかよ。やっとその気になってきたのに、こいつらは出番無しってか?」

 セイジュは涙目で床に転がったまま、『局長』と呼ばれたデスクの奥の人物と、2匹の魔物の会話を耳にしていた。

「俺からも頼むぜ、局長。こんな感度の奴にぶち込めねえなんて生殺しもいいところだ」

「却下だ。1125番は次の部屋に移す。おまえたちもプロならわきまえろ。おい、1125番!」

 セイジュはそれが自分を指していると気づくのに少々時間がかかった。

「は、はい……」

 口を開くとゴルグの体液が口の中でどろどろと動いた。セイジュの涙が止まらないのは、それすら快楽に感じてしまう自分に対する嫌悪感とクロイゼンへの罪悪感からであった。

「第二の部屋へおまえを移す。身体は洗浄し、媚薬も浄化する。いいな」

「……クロイゼンは、どこ、ですか」

「その質問に答える義務は私にはない。移動するぞ」

 その瞬間、セイジュが入れられていた鉄格子と、謎の人物がいるデスクのみがシュッと異空間に入り込んだかのように揺れ、極彩色の光に包まれたかと思われたら、到着したのはセイジュの家、12才からクロイゼンに娶られる18才まで暮らしていた、あの小さな家だった。

『ここでは私は音声のみで記録に徹する』

 局長なる人物はその声を残して見えなくなった。

 ベッドに横になっていたセイジュはまた驚いていた。あれだけ蹂躙された身体はすっかりきれいになっているし、服もあの村で住んでいた頃に着ていた綿のもの、そして何より身体が自由だった。


……逃げられる、のか?


 淡い期待を抱いた瞬間ドアが開き、お馴染みのメンツがぞろぞろと入室してきた。


「み、みんな……。なんで?」


 赤鬼のタゴン、雪男フラム、せむし男のルーニー翁、そして、堕天使ヴィネ。他にも村のオスが数名いた。


『精神力の検査、開始』


 局長の声を合図が、『それ』の開始となった。

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