Another Face 〜もう1つの顔〜

ハル

第1話 私の存在

男って信じられる?


平気で心にもない事言って


浮気して――――




私、比羅瀬 友花(ひらせ ゆうか)16歳は、過去に、ある経験をし、それ以来、男の子に対する見方が変わり、正直、男の子を嫌いになってしまった。



―――そう―――



あれは中学2年の時、



「好きです!付き合って下さい!」

「いいぜ」



あっさりとOKの返事をもらった。


本気で好きな人に告白して、まさかの嬉しい返事。


幸せな毎日を送って、約1年くらい付き合ってから、彼と関係を持った直後。




「バカじゃねーの?お前相手に本気で付き合うわけねーだろ?噂で聞いてたんだよ。お前が俺に気があるって。俺、本彼女(ホンカノ)いるし」


「えっ…!?…嘘…だよね…?」


「嘘じゃねーし。つまり、そういう事だから。お前は都合の良い女だったって事。つーかさ気付けよな。まあ、好きな男とヤれたんだし良かったんじゃ?」



「………………」




私は悔しくて自分の想いをもて遊ばれた気がした。


男の子って、好きじゃなくても平気で付き合ったり、体の関係を持つ事が出来るんだって、その瞬間、痛い程、分かった。


余りの酷い仕打ちに合い私は自分自身を変え、本当の容姿と自分を隠すように過ごす事にした。


もう男の子なんて好きにならない!


そう決心した。


だって、同じ経験したくないから――――



都合の良い女なんて…社会に出て


大人が経験する事のような経験を


私は中学生でしてしまったのだから―――




――――でも――――



アイツに…一人の男に出逢うまでの事だった。


彼に出会わなければ


私は恋愛とは疎かったはずなのだから――――





「それでさー、彼氏が、超カッコ良くてー…」




ドンッ


学校の廊下で、女子高生とぶつかる。




「いった!何処見て歩いてんのよ!気を付けなよ!」



女子高生がキッと睨み私に言った。



「ご…ごめんなさい…」と、私。



「は?何?聞こえないんだけど!?」



「……………」



「感じ悪い」

「本当。行こう!」




彼女達は去って行く。




「ねえ、今のってさー、比羅瀬 友花って子でしょう?」


「そうそう。あの子、影、超、うっすいよねー」


「そうそう。地味だし」


「一生彼氏出来ない雰囲気だよね?」


「アハハ…言えてる!」




その会話を一人の男子生徒が聞いていた。



「………………」





そんなある日。



ポトッ


ハンカチを落とす私。




「あっ、君、落としたよ」と、男子生徒。



振り返る私。



バッ


奪い取るように取り返す。




「どうもっ!!」




スタスタ…


足早に去る私。




「何、あの態度ー」と、女子生徒。


「本当だよねー。人がせっかく拾ってくれたのにさー」


別の女子生徒。




「本当。今の見た?俺の親切を踏み躙(にじ)られた感じかも」



二人の女子生徒に笑顔で対応する男の子。




「あ…はい…あの…大丈夫…ですか?」


「うん!大丈夫!」


「良かったです。だけど、あの態度は本当、失礼な子ですよね?」



二人の女の子は恥ずかしそうに言う。



「まあ、悪気はないだろうし」


「そう…だろうけど…そ、それじゃ」



二人の女子生徒は足早に去って行く。




「うん!バイバイ」




「バイバイだって!可愛いー♪」


「瑞(みずき)君に話しかけられちゃった♪」


「凄いドキドキしたー♪」


「分かる!」




二人は浮かれモード。


私は振り返り男子生徒を見る。


私と男子生徒は視線がぶつかり、私はすぐ目を反らした。




「チヤホヤされる奴…何考えてんのか分かんない…!」


「…何か秘めてんな…ちょっと近付いてみようかな?」




それがお互いの印象だった。
















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