亡き人を改めて追悼する各々の旅路

『リバース』湊かなえ(講談社文庫)


 たら、ねば、と言えばこれはミステリーというよりもどこにでも存在する現代劇ではないだろうか。事故で亡くなる人を掘り下げていけば必ずこのような話に突き当たる気がする。


 それをどう描きかが湊かなえの真骨頂で、メインとなる複数の人物がそれぞれの立ち位置で存在感を示すが、これが今一つ記憶に留めづらい。


 記憶力の良い人なら問題はないだろうが、そうでない方はメモにでも書き残しておくと再び読み始めた時に理解しやすくなるかもしれない。ここが一番この物語の敷居が高くなってる部分で、どうにもページが稼げず、再び開いた時にこれが誰という悪い循環に陥る。


 斑丘高原に行かないかと村井に誘われる形で、谷原、浅見、深瀬、広沢が参加することになったが、提案した村井がちょっとした事故で来るのが遅れることになった。


 仕方なく四人で途中名物などを食べながら斑丘高原に到着。ここは提案した村井の叔父が持っている別荘だ。到着した途端、台風の影響で雨が降り出し、四人は料理や酒に手を伸ばすが、深瀬、広沢は酒がダメだと言ってその場がしらける。


 結局、周りの流れから広沢はビールを口にすることになったところで、駅に着いたから迎えに来いと村井から連絡が入る。


 免許がない。あるいは酒を多く飲み過ぎたという理由から、少ししか飲んでいない広沢が行くことに。ただ、広沢は免許を取って間もなく、外は大雨でおまけに夜の峠道。皆でそんな広沢を送り出したものの、しばらくして村井からまだ車が来ないと連絡が入る。


 身近にいた友人であっても意外と知らないことは多い。


 それを痛感させられる話だ。

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