第14話 契約は計画的に!

 さて、あれからどうなったかと言うと…………



 まず剥製は却下。まぁ、私も生きて動いている吸血鬼様が見たいから攻略対象者のフラグをへし折ったのだし、それはもちろんである。(いつか実物大フィギュアを作らせてもらいたいが)

 結婚も却下……されそうになったが泣き落として(嘘泣き)保留にしてもらった。だって私と結婚しないということは別の誰かのものになってしまう可能性があるわけで、それは耐えられない。

 さらにはペットも却下。人間の娘に飼われるなどとんでもないと断固拒否された。


 しかし、私の巧みな交渉術(脅迫)により妥協案をゲットしました!

 まずはペットだが、あのとき私になついてたコウモリちゃんがすっごいやる気になっちゃって私を守るナイト(ペット)になる!と一緒についてきてくれることになった。

 めっちゃ可愛いので大歓迎である。そして吸血鬼様だが……



「お待たせいたしました、アイリ様」


 優雅に頭を下げる超絶美青年。

 黒髪黒目、牙も無し。の人間の姿に擬態(紅い瞳は人間にはいないため)した吸血鬼様が黒い執事服に身を包みそこにいた。

 溢れ出る色気のオーラに鼻血が出そうになるが必死に耐える。


 私の妥協案とは、1年間だけでいいので私の側にいてくれる契約をすること。

 365日間私の事を見て、それでも結婚するのも嫌でもう近づきたくないって思ったなら吸血鬼様のことは諦めると約束した。


 吸血鬼様からしたらとっとと眷属にでもして無理矢理従わせた方がメリットいっぱいなはずなのに、その気はないらしい。なぜこんなに優しい人がラスボスなのか不可解である。


 そして眷属を増やすという本能も、まずは祝福をかけた私を眷属にしてからでないと次にはいけないそうなのでここは思いきって人間社会に出てきてもらうことにしたのだ。

 だって私、入寮して学園生活始まるし、そしたらなかなか森にも会いに行けないし。私の専属執事として学園についてきてもらいます!(親とか先生とかには吸血鬼の催眠術?みたいなのを使って記憶の操作ができるんだって!でもあんまり多用すると力の使いすぎで人間の姿が保てなくなるから最小限で、だけど)


「素敵です!吸血鬼様!……と、名前を考えないといけませんねぇ」


 私の脳裏に即座に浮かんだのは某有名な真っ黒執事漫画だったのだが……前世の私ってオタクだったんだなぁ。と思われる知識がちょいちょい出てくる。

 前世の自分自身の事は全然思い出せないのに、漫画やアニメの知識が豊富だ。(1番豊富なのは吸血鬼様の情報だが)


「やっぱり真っ黒執事といえば、セバスチャンですよね!」


「……好きに呼べばいい。約束は守ってもらうぞ」


 吸血鬼様は少々呆れた顔でため息をついた。

 もちろん約束とは、吸血鬼様の秘密を絶対しゃべらないってこと。

 相当嫌なんだろうなぁ。例えそれが、他の人からすればどうでもいいようなことでも。

 まぁそのおかげで私は吸血鬼様の側にいられるんだけどね!


 私はにっこりと笑顔で答えた。


「もちろんです。契約ですもの。

 その代わり1年間、ちゃんと私を見てて下さいね?」


「そう、契約だ。さっさと1年を終わらせて俺様は森の奥へ帰らせてもらう」


 吸血鬼様は私の前まで来ると片膝をつき、私の左手をとると手の甲に軽く唇を押し付けた。


「それでは、1年間よろしくお願いいたします。アイリ様」


 ニッといじわるそうな笑み向けられ、手の甲にやたらと熱を感じる。


 絶対に、この1年間で私の事を好きにさせて見せるんだから!


 アイリ・ルーベンス、吸血鬼な執事をゲットしました!


 このあと吸血鬼様の色気オーラに耐えきれず、鼻血を出して失神してしまったのは仕方無いと思う。






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