第6話 運命的ってこーゆーこと!

 彼女の名前はルチア・ノアベルト(現在5歳、美少女、泣き黒子がチャームポイント☆)

 双子王子たちの婚約者候補の令嬢で、15歳になったときにどちらかと婚約する予定。(次期王位継承に選ばれた方と、となっているが、ヒロインが攻略対象をどちらかに選んだ場合はその選んだ方の婚約者になる。ちなみに色黒王子や妖精王を選ぶと嫌味を言ってくるクラスメイトになりヒロインをやたらと嫌ってこの国から追い出そうと策略する)


 しかしこの悪役令嬢、堪らなく私のツボなツンデレなのだ。ゲームではそんなに多くは出てこないのだが、重要イベントでは関わってくるし、悪役令嬢への対応によって王子たちの好感度が変わってくる。


 その時のヒロインに牽制して言うセリフに「わたくしは王子の婚約者としてあなたのような方とは関わらない方が王子のためと申しているんです。ヤキモチ?ふざけたことおっしゃらないでいただけますか、わたくしがあなたに嫉妬しているとおっしゃるの?あなたなんてわたくしの足元にも及ばないミジンコ程度の存在の癖に!」って言うのがあるんだけど……


 実は裏設定で「王子は婚約者であるわたくしには全然優しくして下さらないのに、この子にはあんな笑顔を見せて(君の泣き顔が見たいor頬を殴ってほしい)なんておっしゃるなんて、酷い……!わたくしだったらいくらでも(泣き顔を見せてor殴り倒して)あげますのに……!」とヒロインに嫉妬の嵐だったことが公然の秘密となっている。

 特にドM王子ルートの時の「いくらでも殴り倒してあげますのに……!」にむちゃくちゃ胸キュンしてしまったのだ。


 この悪役令嬢は王子を心から愛していて、愛のためならドSにもドMにも常に対応できると言う海よりも深く空よりも大きな心の持ち主である。

 私的には王子たちはこの悪役令嬢と結婚した方がいつでも自分の欲求を受け入れてもらえてストレス無く幸せに暮らせるはずだと豪語したい。私だったら例え王子相手でもこんな性癖の変態はお断りだ。っていうか、恥ずかしがりながらドM王子を殴り倒してハァハァしちゃってる(またはドS王子に言葉攻めで泣かされてうっとりしてる)悪役令嬢もかなり変態なのかもしれないが、可愛いから許されるのだ。私の胸キュンは正しい。


 えー、つまり。私はこの悪役令嬢とお友達希望なのです!


 そんなわけでこの運命の出会いをモノにするためには、押して押して押しまくるしかないのである!


「私のお友達になってください……!」


 私の顔は胸キュンを思い出したせいで真っ赤になりプルプルしていた。だって吸血鬼様の次に好きなキャラクターが目の前にいるのだ。

 ゲームでは15歳の姿だけだったけど、5歳の姿も可愛い!最高!萌え!


 すると悪役令嬢(激かわ)はちょっと恥ずかしそうにうつむくと、頬を薔薇色に染めツンデレの片鱗を見せつつ答えた。


「そ、そこまでおっしゃるなら、……お友達になっても、その、よろしくてよ?」


 萌えをありがとうございます!今ならロリコンの気持ちがわかります!同い年でよかったー!


 それから花園で座り込んで色々お話をした。ルチアもぼっち予備軍でお友達が出来ずにいた事。(これにはツンデレを勘違いされてるのと、王子の婚約者候補のためあまり他の人が寄り付かないという理由がある)

 この花園は人目がないからよく1人で遊んでいたらしい事。実は恥ずかしがりやで人見知りなため、ついいじわるなことを言ってしまい年の近い子供に嫌われていること。なぜか私にはあんまり警戒心なく向き合えたこと。


「私たち、お友達になる運命だったんだね!」


「うれしいですわ!」


 その日のうちにすっかり打ち解けた私たちは「アイリちゃん」「ルーちゃん」と呼び合う仲になった。

 この友情は大きくなっても壊れることは無く、学園に行くまでの間もお互いの家に遊びに行ったりお泊まりしたり、お互いの家族は娘に友達が出来たと大喜びだった。


 実はルーちゃんの家の方がかなり家柄が上だったので本来なら身分の差とか大人な事情で引き離されてもおかしくなかったのだが、お互いにひとりぼっちだった娘がやっと出来たたった一人の友達を引き離せるほど酷い大人もおらず(お互いの親は各娘に激甘であった)無事に親友となれたのだ。


 さらにルーちゃんには離れた場所に護衛が隠れていてこっそりルーちゃんを見守っていたそうなのだが、私たちのやり取りを邪魔せず見守り「ルチアお嬢様、よかった……!」と感動して涙したのは誰も知らない。

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