ひたひたと押し寄せる闇の気配

「JM」。彼は決して「悪」の一言で語り切れるような男ではない。
彼には彼の信念がある……本作への第一印象はこれです。
ドイル氏が描かなかった彼の心の奥底がじわじわと滲み出てくるようです。
隙のない文章に脱帽です。いちシャーロッキアンとして、興味深く読ませて頂きました。

彼の、形のない「神」というものに決して抑圧されることのない凄まじいまでのその才気は、どこへ行き着こうとしているのでしょう。
純真なる学生ガレットを「助手に」と望むそのわけは?
彼と不思議な美女・フルブライトとの関係も意味深です。

静かな、でも何かが蠢いている闇の気配。それがひたひたと近づいてくる。
私は暗い物語が苦手なはずのに、ページを捲る手が止まりません。
一言で言って、とても好き。続きを楽しみにしております。

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