第二章 王家の剣編~迷宮探索~

第19話 貿易都市グリーン・シティに出発

俺とクリス、アレク兄ちゃんとその妻であるユリアさん、そして魔導士のユリウスさんの5名はザクソンの入り口の門に立っていた。


「ユートちゃん。馬車はユートちゃんが用意するって言っていたけど、何処にあるのよ?」


「ユート、本当に用意しているのか?」

クリスとアレク兄ちゃんがジト目で俺を見ている。

まあ、まかせなさい!


***昨日の夜、ある場所で俺は移動する荷台を作っていた。


「材料は...これで良いとしてエンジンは魔石動力にしたので問題ないっと。後は車体のこれに魔法陣を書き込めて....出来た! 我ながら良い出来だ。此れなら普通なら馬車で2週間の所が3日でつけるはずだ。その分の日数を滞在として使えるはずだ」

、俺はそう言いながら明日の旅立ちを楽しみにして寝るのであった。


*****


「用意出来ているよ。今から出すから」

俺は亜空間収納からある乗り物を取り出した。

それを見た俺以外の全員が声をアングリしていた。


「「「「.......なんじゃあこりゃあああ!」」」」


「馬車より早い乗り物...名前は「トランザーA7」だ」


俺が亜空間収納から取り出した乗り物は小型トラック風の乗り物、「トランザーA7」である。


「前は二人乗りの席があってそれが操縦するのだ。側面に引き扉があって、其処は最大6人は乗れるのだ。一応シャワー室とトイレを設置して横には簡単な調理が出来るキッチンを置いているんだ。どうだすごいだろう?」


「ユート、こんな乗り物は目立つすぎるのではないか?」


「まあまあ。これを見たら大丈夫だと分かるはずだ」

俺は全面の操縦席に乗ってあるボタンを押すとトランザーA7は馬車の姿に変化した。


「「「なんじゃあこりゃあああ!」」」

馬車になったトランザーA7に驚く全員。


「これなら馬車には見えるだろう? 隠蔽魔法陣を組み込んだのだ。それよりも早く乗ってくれないか?」

俺はクリス達にそう言いながら無理やり乗せるのであった。


「ユート君。操縦する人がいないのだけど?」


「それなら問題ないわ。出よ「人型ゴーレム」!」

俺は人型ゴーレムを召喚して運転席に座らせた。


「ちなみに操縦は馬車の中でも操縦できるからいざ出発!」

そう言ってトランザーA7は出発するのであった。


「グリーンシティまでには馬車で約2週間ほどで行くのだが.....。何でこんなに早いのだ!」

アレク兄ちゃんは大声で怒鳴っていた。


「これならグリーンシティには明日に到着するから良いでしょう?」

俺はドヤ顔で答えるとアレク兄ちゃん達は驚いて、ただ座っているだけである。


「本当に....快適な乗り物ですね。これは....」


「普通の馬車ならお尻が痛いから少し休みながら行くのだけど....。余りにも快適過ぎて困りますね?」


「まあ、ゆっくりと行くとしますか? それよりアレク兄ちゃん、聞きたい事があるのだけど?」

俺はアレク兄ちゃんに気になる事を聞くとしますか。


「....なんだね....ユート」


「グリーンシティに行ったら何をするの?」


「グリーンシティには迷宮があって、その迷宮の最下層にある物を取りに行く物があるのだよ?」


「アレク兄ちゃん。俺はもうわかっているので教えてくれないか? アレクサンダー=ベルマーク.....ベルマーク王国第三王子として」


「ユート....知っていたのか?」


「まあね。迷宮にあるのは王家にとって必要な物?」


「そうだ。俺はベルマーク王国の国王になる為に国王の証を取りに行く為にユート、いやリオンにお願いがある」

どうやらアレク兄ちゃんは決心して話を始める。

その内容は....一番大変な内容であったのだ。


「実は、ベルマーク王国には4つの王の証があるのだ。その場所は学園都市ラインと貿易都市グリーンベルと工業都市ハミルトンと要塞都市ガーネにある迷宮で、その最下層にその証があるはずなのだ。俺はそれらを取りに行って王都に入り、国王の前でそれを見せて王位を継ごうと考えている。」

アレク兄ちゃん、いやアレクサンダー王子から聞いた話をまとめると初代ベルマーク国王はロマリア王国から独立した時に国王が装備していた証を4つの迷宮の最下層に安置したのだ。理由は簡単で、もしも王国内で王位継承が始まると内戦になると思い初代国王は子孫に4つの証を持った者が国王になると決まりがある。

国王の装備品は国王の子孫の血統が装備できると言われていた。

アレクサンダー王子は4つの証を手に入れる為に各地の迷宮に行く事になったのだ。


「4つの証に関しては既に他の兄上にも伝わっているのだが......。なんせ迷宮の最下層には行けないのだよ? これはクリスが知っているはずだ」


「はい。院長先生の情報とザクソン卿の情報から聞いた話では、アルカイン第一王子はガーネとグリーンシティの迷宮に潜って、フォスター第二王子もハミルトンの迷宮に潜った話です。しかし、最下層に到着しても何もなかったと聞いています」


「クリス、ガーネとグリーンシティの迷宮、そしてハミルトンの迷宮はどれぐらいになっているの?」


「ガーネは30階層、グリーンシティは20階層でハミルトンは30階層です」

クリスは答えると何処からとなく声が割り込んで来た。


『やっほ~。リオンちゃん』


『その声は女神エレーナ????』


『そうだよん! 私から一言言わせてね? 初代ベルマーク国王は私達の加護を受けているのよ。今言っている迷宮は最下層は各50階層になっているわ。最下層に入るには私達の加護を受けている人しか入る事が出来ないの。つまりリオンちゃんのパーティしか入らないわ。』


『おいおいおい。それじゃあアレク兄ちゃん達は?』


『アレクサンダーちゃんは問題ないわ。だって加護があるからね? 入る手順は今から言うから聞いて...。ゴニョゴニョ.....分かった?』


『分かった。これをアレク兄ちゃんに言っても良いか?』


『それは貴方が今言っている場所に着いたら教えてあげてね? じゃあねええ!』

おーい、適当に言うんじゃないわ!

まあ良いか.....。

迷宮に入ったらアレク兄ちゃんに話をするか....。


「あのう......アレク兄ちゃん。迷宮の最下層は50階層だって言っていた....」


「なんだって! 誰から聞いたのか!」


「苦しいって! 実は.....俺には女神エレーナ様の声が聴こえるのよねえ....その女神様から聞いたのだよ?」


「「「「マジっか?」」」」


「マジっす....って、もうそろそろグリーンシティに着くよ? 門の前に止めるとマズイからこの辺りで降りよう」


「そうだな.....リオン....。マジでグリーンシティに着いたのか?」


「まあね。グリーンシティに入ったら宿を取って作戦会議としよう。其処で詳しく説明するから」


「「「「了解」」」」

俺達はトランザーA7から降りて歩いてグリーンシティの入り口に到着した。

アレク兄ちゃんは門番に話をして門の中に入って行った。


貿易都市グリーンシティ。

此処はベルマーク王国の中で一番の貿易が盛んな都市で此処から他国からの商品が此処に入って各王国の都市に渡って行くのである。

グリーンシティの迷宮に入るには領主の紹介状が必要になるのだ。

しかし、俺は知っている。

この迷宮じゃなく別の場所にもう一つの迷宮があるのを....。

俺達は宿を取った。男性陣と女性陣に部屋を分かれて部屋を確保して、女性陣達は先にお風呂に入り、男性陣は女性陣のお風呂が終った後で男性陣の部屋に集まった。


「これで良しっと」


「何をしたんだ? ユート」


「ああ、この部屋全体に完全防御の結界を張ったのだよ? 女性陣の部屋にもさっき結界を張ったので侵入者が来ても気絶するだけだから」


「「........」」

沈黙する男性陣をよそにして女性陣が部屋に入って来た。


「「おまたせしました」」


「クリス達の部屋にも完全防御の結界を張ったので安心して寝ていいよ?」


「「........」」

女性陣も沈黙した.....。


「ごほん。それと今から話をしてもこの部屋から聞こえない様にしたので話して良いよ?」


「それなら....リオン。説明をしてくれ」

アレク兄ちゃんが代表して俺に聞いてくる。


「クリス。ここの迷宮の入り口は何処にあるの?」


「はい。領主宅の地下にあると聞いています...それがなにか?」


「領主宅にある迷宮はカモフラージュで本当の場所は.....冒険者ギルドの地下にある迷宮「風の迷宮」にあるんだ。」


「確か「風の迷宮」は20階層しかなかったはずでしたが? アレクサンダー王子様」


「そうだ。「風の迷宮」は20階層が最下層だ」


「20階層のボスを倒すと何が出てくるの?」


「入口に戻る転移門が出て来るはずだ」


「まずはその20階層に行ってボスを倒してからだな? そこから俺の指示に従って行けば下に降りる事が出来るはずだよ? それで20階層までのモンスターは?」


「確か、レベル50のオークとオーガだったはずだ」


「女神から聞いた話では、20階層以降はレベル70以上の魔物が多く出るはずだよ? 30階層と40階層と最下層にはボスが出るって言っていた」

俺は女神から聞いた話をした。

「風の迷宮」は20階層から30階層まではワイバーン。

40階層の階層ボスはグリーンワイバーン。

41階層以降はレベル80のモンスターが出て来る。

それ以降は女神は知らないらしい.....本当に適当な女神だ。


「....と言うわけで準備をしないと行けないから明日は準備をする日に当てて明後日に風の迷宮に入ろう」


「「「「わかりました」」」」

俺達は今後の事の話をしてから明日は準備する日の為に寝るのであった。


~作者より~

遅くなってすいません。

次回はいよいよ迷宮に潜ります。

お楽しみ下さい。






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