第17話 領主との謁見(後編)

俺はジャークに向ってジャークが魔族と指摘した。

それに対してジャークは穏やかな顔で話した。


『私が魔族ですと? 私は王都から来たのですよ?』


「それでは、試したい事があるので領主様、良いでしょうか?」


『かまわん』


「では」

俺はライオネットの了承を確認するとジャークに飛び掛かった。

するとジャークは素早く避けて


『な、なにをするのですか! 領主様、これは国王に対する反逆ですぞ!』


「なあ、お前。これ返すわ」


『何を言っているのだ? ってなんじゃああ!』


俺がジャークに返したのは、あいつの左腕だった。

つまり、俺が奴の左腕を切り落としたのだ....ざまあみろって!

奴の斬った左腕を見るとだんだんと粉々になって消えてしまった。


「お前さ、やっぱり魔族じゃないか? しかもレッサ-デーモンだったとはな?」

ジャークは切り落とされた左腕の切り口から新たな腕が生えて来て、笑いながら暴露して行く。


『まさか....此処までするとは思いませんでしたよ? 私はジャーク=ワルマークは仮の名前.....本当の名前は悪魔騎士ジャックルです。領主を亡き者として、このバカ息子を領主にさせてから第二王子と交流をしようと思っていましたが.....ここまですね?』


『ジャックルよ、お前は我が国の第二王子と手を組んでいたのか?』


『此処にいる貴方達はもうすぐに死ぬのですから話して置きましょう。そうです。我が国ベルガイア王国は今我が主が国王となり、我が主の命令により、この国を我支配下にする為ですよ? おかげで第二王子との盟約が出来たのです。つまり、この国が第二王子が王位に継げば我が主と同盟を組んでバイデン王国との戦争する事になるます。まあ、我が国は手を出さないのですけどね? もういいでしょう。ここで貴方達は死んでもらいます。無論、其処のバカ息子と一緒にね!』


あのなあ....そう言う悪役は多いのだよ?

しかも、お前が死なないと思っている見たいにペラペラとしゃべりやがって.....本当にバカはお前だって言うの!

俺は心の中でツッコミをしていると、

ジャックルは本来の姿....レッサーデーモンに変身した。

この世界での魔族にはランクがあり、レッサーデーモンは災害級に分離されているので普通の人間なら一瞬に死ぬのだが....。

ジャックルがギルモア達に向って襲い掛かろうとしたが....。


パリン!パリン!パリン!パリン!パリン!パリン!パリン!パリン!パリン!

パリン!パリン!パリン!パリン!パリン!パリン!パリン!パリン!パリン!

パリン!パリン!パリン!パリン!パリン!パリン!パリン!パリン!パリン!

と言う音しか出てこない.....。


『まさか....防御結界ですか?』


「その通りだよ? 領主様と其処のバカ息子他、此処にいるお前と俺以外に防御結界を張ったのだよ? まあ、さっさと死んでくれ! <望月流千本桜>」


俺は望月流の技<千本桜>を放った。

この技は一振りに見えるが秒間1000も相手に斬りつける技である。

すなわち....このレッサーデーモンは既に.....粉々になるのであった。


『......これほどとは......我が主に栄光あれ!』


これがジャックルと言うレッサーデーモンの最後であった。

さてと、次はこのバカ息子の番だな?


「領主様、これで残りはバカな息子の番ですね?」


『ああ、ギルモア!』


『はいいいいいいいいい!』


『お前は領民に対して、自分がしている事が解っているのか?』


『はいいいいいいいいいい!』

バカ息子のギルモアは閻魔大王の顔になったライオネットを見て直立不動していた。

その場には大きな水たまりが.......お漏らしって?


『騎士団長! このバカとガメッツを牢にほり込め! のちに処分を決める!』


『了解しました!』

騎士団長他の騎士達はギルモアとガメッツの二人と一緒にその場から出て行く。

残った俺とゲイルに対して話始めた。


『ユート、ゲイルよ。良くやった感謝する。これでザクソンは元に戻る事になるだろう......そこで1週間後に此処に来てくれないか? 正式に承認をするので』


「ありがとうございます。それでは1週間後に」

そう言って俺は領主宅を後にしたのであった。


再度、領主宅に行く間の1週間で色々な事が起きていた。

先ずバカ息子のギルモアは継承権を剥奪、鉱山に一生過ごす事になった。

ガメッツ商会は取り潰しされ、会頭のゲース=ガメッツは処刑され、加担した冒険者は主犯リーダーの男は処刑、残りは30年のギルモアと別の鉱山で鉱夫する羽目になった。

そして、領主ライオネットは領民に対して詫びをし、ギルモアが着服した金額はザクソンの3年間の税金に相当するのでここ5年間は税金を免除した。

ギルモア達に借金奴隷となった人、借金の為に娘を慰め者にされた人達に対しては賠償金を支払った。

領主ライオネットの後継者はバカ息子のギルモア以外に息子がいるのだが年齢が10歳の為、領都にある学校に行かせながら、ライオネット自ら教える事になった。

その息子はバカ息子とは違って出来る子なのでライオネットは飴と鞭を使うと決めるのである。


1週間後、ユートは再び領主宅を訪れて、案内された場所は.....会議室であった。

中に入ると....領主ライオネット始め多くの人が座っていた。

そのメンバーと言うと領主ライオネット。

ギルドマスターのゲイルとBランク冒険者パーティ「白銀の狼」のリーダーであるランスロット=ハーゲンとライオネットの執事のハリソン=メイヤー。

商人ギルドマスターのユミル=ロマン。

孤児院の院長先生である確か名前は......知らん!

その5人と俺を入れて6人だ。


『ユートよ、座り給え』


「分かりました」

俺は空いている席に座るとライオネットが話を始める。


『これで全員揃ったな? では始めるぞ! 最初に冒険者ユート、又の名をリオン=ロックバーグよ。私がザクソン領主でお主の父親、レオン=ロックバーグの親友のライオネット=ザクソンだ』


ライオネットが何で俺の本名を知っているのか?

俺は困惑しているとライオネットが話を続けた。


『此処にいる人達は元ロックバーグ家に関係している人物だ。ゲイルから自己紹介してくれないか?』

なんと! 俺はビックリした。

領主以外のメンバーはロックバーグ家に関係しているのだと!


『ユート、いやリオン様。俺の名はゲイル=マクドナルド。元ロックバーグ領の近衛騎士団長で今は冒険者ギルドのザクソン支部のギルドマスターをしている』


『僕の名は、ランスロット=ハーゲンです。元ロックバーグ領の近衛騎士副団長で今はBランク冒険者パーティ「白銀の狼」のリーダーをしています。「白銀の狼」は私を入れて5名で全て元ロックバーツ領の近衛騎士団だったのです』


『次は私ですな? ハリソンーメイヤーです。元ロックバーグ家の執事長をしていました。今はライオネット様の執事をしています』


『僕の名前はユミル=ロマンと言うよ? ここザクソンの商業ギルドのギルドマスターをしています。元ロックバーグ家と交流を持っていたよ?』


そして、最後に院長先生が話をした。


『最後に私の名はエスティア=ユグドアシル。出身はレオバード共和国から来たわ。ロックバーグとは長年の友人なのよ? まあ、何方かと言うと貴方の母君のシスティアの姉なのですけどね?』

俺はその事について衝撃した。

母上に姉がいるのだとまるで知らなかった....。

俺はシルティアに気になる事を聞いたのだった。


「あのう.....院長先生ってお歳はいくつですか? 姿を見ると....60歳ぐらいにしか見えないけど....。」


『あら? この姿だと年寄りしか見えないのねえ? この姿は仮の姿なのよ? だって、私はヘイエルフ族ですのよ?』

シルティアはそう言って元の姿に戻った。

その姿は銀色の長い髪をなびかせ、狐目のしたエメラルドの眼をしたボン・キュン・ボンのスタイルの20代半ばの年齢の美女になっている。


『リオン様、こう見えてもこの中では一番年上ですぞ? 奥様は確か200歳と言っていた気がするが。恐らく300歳は生きていあるかと思いますぞ』

ゲイルは俺に小言で言い始めるとシルティアは鋭い目で俺達を睨みつけた。


『あら、ゲイル....いくら、クリスと仲が良いと言っていても、それは看破出来ないわ?』


『『『すいませんでした!』』』


『よろしい。リオン君、ちなみに今、レオバード共和国は私の兄ユリウスが2代目大統領になっていますわ。ミケール一家はベルマーク王国とレオバード連邦の交流の一環として此処に来ています。他にもこの国に来ている人達がいますわ。』


システィアは俺に色々と教えてくれた。

レオバード共和国はベルマーク王国から南の大陸にある国でも元々いくつかの種族が集まって出来た国で初代大統領の名前はリリアンヌ=ユグドラシル、システィアの母親であった事や、父上と母上の出会いまで色々と教えてくれたのだ。

その出会いは.....後に話すかもしれない??


「院長先生は、俺の母上の姉と言う事は、叔母様と言ったらいいのですか?」


『その叔母様は嫌よ? これからは私の事はと言ってくれたらいいわあ。』


「いいや。院長先生で結構です」


『あらまあ。残念だわ』


『ゴホン.....そのくらいで良いかな? システィ殿』


『そうねえ。後はライオネットちゃん、よろしくね』


.....ライオネットちゃんって.....まあ結構年上なので良いか.....。

俺は心の中でツッコミを入れながらライオネットの話を聞くのであった。



~作者より~

リオンの両親についての話は後に書こうかと考えています。

次回はいよいよリオンの旅の始まりが開始します。

リオンに同行す人物が出て来るのでお楽しみ下さい。











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