素材9 回想スタート

俺はトラックに轢かれた。そして、気がついたらこの世界に居たのだ。

「おーい!そろそろ出発の時間だぞ!」

俺がそんなことを考えていると、いつの間にか準備を終わらせたオジサンがこちらにやってきていた。「すみません、今行きます」

そう言ってから、オジサンの方に走っていく。

「さて……今日も頑張るか」

そう呟いてから、馬車に乗り込んだ。

「それじゃあ出発するぞ!」

オジサンの声

「はーい」

俺の声 こうして、俺達の馬車の旅が始まった。

「ふぅ……」

俺は、馬車の中でため息をつく。

正直なところ、この世界にはもう慣れた。最初は戸惑うことだらけだったが、今はだいぶ

「どうしたんだ?浮かない顔してるじゃないか」

オジサンが話しかけてくる。

「いえ、ちょっと考え事をしていただけです」

「そうかい。何か悩み事があったら遠慮なく言ってくれよ?」

オジサンが言う。俺はそれに笑顔で応える。

「ありがとうございます」

「おう!まぁでも、とりあえず今日の夜まではゆっくりしときな」

「はい」

それからしばらくすると、オジサンがまた話しかけてきた。

「ところでお前さん、どこから来たんだい?」「えっと……ここからずっと遠くの方です」

適当に答える。

「そうかい、大変だったろう?こんな何もないところに来ちまってよ」

「えぇ……まぁ、はい」

確かに、ここに来た当初は大変だった。だが今ではそれもすっかり忘れてしまった。

「でもまぁ、そのうち良いこともあるだろうさ」

オジサンが言った。

「そうですね」

「そうだとも。なんせここは楽園だからな!」

オジサンの言葉を聞きながら、窓の外を見る。そこには、広大な大地が広がっていた。

「ほれっ、着いたぞ!」

しばらくして、オジサンが声を上げた。

「はい、分かりました」

そう言いつつ、馬車から降りる。

「じゃあな!楽しんでこいよ!」

オジサンが手を振ってきた。

「はい、ありがとうございました」

そう言ってから、荷物を持って歩き出す。

「……」

少し歩いてから、後ろを振り返る。そこには、大きな門があり、その向こう側には町が見えていた。

(……よし)

気合いを入れてから、町の中に入る。そこは、とても賑やかな場所だった。

「まずは宿を取らないとな……」

そう思いつつ、適当な宿屋を探す。そして、すぐに見つかった。

「すみません、泊まりたいんですけど」

受付にいる女性に声をかける。

「はい、何日泊まる予定ですか?」

女性が尋ねてくる。

「1週間ほどお願いします」「わかりました。では、お部屋の方は2人部屋とシングルベッドのお部屋がありますがどちらになさいますか?」

「シングルベッドの部屋でお願いします」「かしこまりました。ではこちらが鍵になりますので失くさないようにお願いしますね」

そう言われてから、鍵を受け取る。

「それでは、よい旅を」

そう言われたので、「はい」と言ってから外に出た。そして、受け取った鍵を見てみる。

「2階か……」

階段を使って、2階に上がる。そして、指定された部屋にたどり着いた。

「ふぅ……」

一息ついてから、扉を開ける。中に入ると、綺麗な内装になっていた。

「結構いい感じだな……」

そんなことを呟きつつ、荷物を置く。それから、もう一度外に出る。

「さて……どうするか」

とりあえず、町に出てみることにした。だが、この町のことは全く知らない。なので、手当たり次第に見て回ることにしてみた。

「へぇ〜なかなか色々あるな〜」

そうやって歩いているうちに、広場に出た。そこでは、様々な出店が開かれており、たくさんの人で賑わっていた。

「うーん……」

少し考えてから、近くの店に入っていく。そこで、果物を買うことにした。

「すみません、これください」

「はいよ!まいどあり!」

店主が元気よく返事をする。俺はお金を払ってから、果物を受け取った。それをポケットに入れる。

「さて、次はどこに行こうかな……」

そう思って周りを見てみると、路地裏に続く道を見つけた。

「あれ?こんなところに道なんてあったっけ?」

不思議に思ったが、興味が湧いてきたので行ってみることにする。

「ここが入り口か?」

俺は、薄暗い道を進んでいく。しばらく歩くと、大きな屋敷のような建物があった。

「なんかすごいな……」そう思いながら、建物の中に入ろうとする。

「ちょっと待ちな」

すると、突然背後から声をかけられた。驚いて振り返ると、そこに居たのは屈強な男達だった。

「な、なんでしょうか?」

恐る恐る尋ねる。すると、リーダー格らしい男が答えてくれた。

「お前さん、ここに何か用があるのか?」

「えっと、はい。ちょっと散歩をしていたら見つけたものですから」

俺が答える。すると、男はニヤリと笑った。

「なるほど……それはちょうど良かったぜ」

それから、部下らしき人達が近づいてきた。

「おい、そいつを捕まえろ」

「えっ!?︎」

いきなりそう言われ、困惑する。

「な、何を言ってるんですか?」

「だから、お前さんが何か良からぬことを考えているかもしれないから捕まえるんだよ」

「いや、別に何も考えていないですよ」

「嘘つけ!お前さん、さっきこの中に入ろうとしただろう!」

「えぇ……まぁ……」

「だったら決まりだ。大人しく捕まりな!」

そう言いつつ、男が襲いかかってくる。

「くっ!」

ギリギリで避ける。それから、ナイフを取り出した。

「なんだそりゃあ!そんなもので勝てると思ってんのか!」

男が言う。確かに、その通りだろう。だが、やるしかない。そう決意して、戦いを始めた。

「はあ……はあ……」

なんとか倒すことができたが、かなり消耗してしまった。

「ちっ、しぶとい野郎だな」

そう言いつつも、余裕そうな表情をしている。

「さて、もう終わりか?」

男が言った。正直言って、これ以上戦う体力はない。

(どうすればいいんだ……)

必死に考える。

(そうだ……)

ふと思いつき、ナイフを構える。そして、一気に走り出した。

「おっ!」

相手が反応する前に、懐に飛び込む。そのまま腹に刺そうとした。

「甘いぞ!」

しかし、避けられてしまう。だが、それでよかった。目的は、相手の武器を奪うことなのだから。

「よし、これで……」

相手から奪った剣を使おうとする。だが、その前に首筋に冷たい感触を感じた。

「動くんじゃねえ!」

男の怒号が響く。そして、ゆっくりと後ろを振り返ると、そこには銃を構えた別の男がいた。

「あっ……」

思わず声が出る。そして、体が震え始めた。

「おい、何やってるんだ?」

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