第6話

「大丈夫。あれは僕の弟だから」

「は⁉︎ええっ⁉︎なっ………ええええええっ⁉︎」

 

 

 

 

 弟⁉︎

 

 

 

 

 

 弟って何だ⁉︎

 

 

 弟っつったら同じ親から生まれてくるヤツのことだろ⁉︎

 

 

 つっ………つまりは血が繋がってるってことだろ⁉︎

 

 

 でもこれって雪男だろ⁉︎シロクマみたいだけど、顔だけ見たら………ってコイツの顔見えないけど、シロクマのが断然かわいいコイツはイエティだろ⁉︎

 

 

 こいつが弟なら、この毛むくじゃらがセツの弟って言うならっ………。

 

 

 

 

 

「ふごふごふごっ」

「うおおっ」

「ユキオ、それじゃあ倫が余計に怖がるから」

「ふごーーー」

織波おりはまだ来ないの?」

「ふごふごっ」

 

 

 

 

 

 きょうだいって、こと、は。

 

 

 セツも実は毛むくじゃらの雪男、とか、言う?

 

 

 この、白くて雪のようにキレイな、セツが?イエティだって言うのか?

 

 

 だとしたら。

 

 

 

 

 

 だと、したら。

 

 

 

 

 

 チラっと、布団に隠れつつチラっとセツを見た、時だった。

 

 

 

 

 

「ユキオおおおおおっ」

「ぬおおおおっ⁉︎」

「あ、織波」

「ふごごっ」

 

 

 

 

 ばああああんってすごい勢いでドアが開いて、これまた超薄着の若い、ここからでも分かる色黒のヤツがすごい勢いで飛び込んで来た。

 

 

 俺はまた超ビビって飛び上がって、今度は何だよ⁉︎ってそいつを見た。

 

 

 

 

 

 派手な、真夏なアロハシャツにハーフパンツにサンダル。

 

 

 

 

 

 おい。

 

 

 おい、こら。ちょっと待て。

 

 

 ちょっと待っておくれよ、お兄さん。

 

 

 

 

 

 お前、それ、季節感ゼロどころか頭おかしいレベルだろ。外は猛烈な吹雪だ。大寒波ってヤツだろ?なのに何でそんな常夏な恰好なんだ。

 

 

 

 

 

「ユキオ」

「ふご」

「悪い。仕事に熱中しすぎた」

 

 

 

 

 

 え。

 

 

 まさか………。

 

 

 まさかとは思うが、こいつ、イエティのふごふごと会話が成立してる?

 

 

 

 

 

 俺がふごふごしか聞き取れないのは恐怖のせいか?熱のせいか?実は気のせいなのか?ちゃんと聞こうと聞こうと思えば聞けるのか?

 

 

 

 

 

 いや、でもこわい。こわすぎる。存在感半端ない。

 

 

 セツより頭一個分くらいデカイし。今来たヤツがセツよりちっさいから余計デカく見えるし。

 

 

 

 

 

 チラチラと、こええよおおって思いながら見てた。こっそり覗いてた。

 

 

 そしたら。

 

 

 そしたら。

 

 

 

 

 

 織波って名前の季節感クレイジー男は。

 

 

 ユキオってイエティの名前を呼びながら、その毛むくじゃらの顔に………推定位置、口に。

 

 

 

 

 

 キスを、した。

 

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